VDIが期待通りの性能を出せない原因は、ストレージにある。解決策としてフラッシュストレージの導入があるが、オールフラッシュではコストがかさみ、ハイブリッドフラッシュでは性能が足りないかもしれない。どうする?
これまで、仮想デスクトップ(VDI)の多くは期待されたほどの効果を挙げていない。
よくあるパターンは、パイロットプロジェクトは素晴らしく成功し、デスクトップPCと同様の機能をわずかな費用で実現した上に管理作業も簡素化し、セキュリティも強化できたのに、多数のユーザーを含む本番環境に展開してみると壁にぶつかる、というものだ。多くの場合、特に朝の業務開始時刻に何万ものユーザーがログイン操作をすることで起動処理が集中する「ブートストーム」が発生し、VDIは応答速度が著しく落ちる。
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VDIを展開する場合、特に大規模な実装で必要になる特質は、従来のディスクストレージの性質とはほとんど正反対であるところに問題がある。
読み取り処理が集中するブートストームが終わると、VDIが実行する処理は書き込みに偏る。書き込みと読み取りの比率は、ざっと80:20となる。またこの処理はかなりランダムに実行される。なぜなら、多数のユーザーとデスクトップをたった1つの、予測不能な 入出力(I/O)ストリームに結合しているからだ。デスクトップ1台当たりの1回の処理はほんの10〜20IOPS(I/O per Second:1秒当たりの入出力処理回数)であっても、要求がある瞬間に集中して、大きなスパイク(トラフィックが突然ピーク値に達すること)が発生することが日に何度かある。
こんな事態を救う手段となるのが、大規模システム向けのエンタープライズフラッシュストレージだ。オールフラッシュアレイや、HDDとフラッシュドライブを組み合わせたハイブリッドアレイを展開すれば、ランダムな入出力も難なく処理できる。さらに高機能のアレイ管理ソフトウェア(例えばメモリページ全体が埋められる数に達するまで書き込みをキューに溜めておく機能があるもの)を組み込めば、これまでの課題も乗り越えることができる。
もちろん、ディスクベースのアレイが含まれるシステムにVDIを組み込んで問題なく動作する場合もあった。この場合は恐らく、フラッシュかRAMベースのキャッシュを配備して、読み取り処理が集中するブートストームに対処していると推測される。通常このようなシステムでは、ステートレスのデスクトップを使用して、負荷が比較的低い、標準化されたタスクを実行する。例えばコールセンターがこれに該当する。この場合、デスクトップ1台当たりのストレージに掛かる負荷の平均は、5IOPS未満の場合もある。このとき、デスクトップは米VMwareのリンククローン、または米Citrix Systemsの「Provisioning Server」のサーバイメージである。マスターイメージを共有することによってストレージを大幅に節約し、各デスクトップには個人設定とデスクトップ構成用のデータだけを格納する。
上述のタスクベースのジョブとデスクトップの問題を克服したとしても、一部で「VDI 2.0」と呼ばれているものには、なお問題がある。
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