自社でもやってみたくなるオープンソース活用事例ただし、ライセンスコスト以外も考慮

著名なオープンソースプロダクトはそれなりに普及しているが、イノベーションを起こすOSSはまだまだある。英William HillはOSSをどのように活用しているのか? この事例から学べることは多い。

2015年11月05日 08時00分 公開
[Cliff SaranComputer Weekly]
Computer Weekly

 英William Hillは、レコメンデーションとゲーミフィケーションの支援を目的に、オープンソースツールキット、関数型プログラミング、「Docker」コンテナを基盤とする新しいデータプラットフォームを開発した。そのテクノロジースタックから、オープンソースWebサイトアーキテクチャを開発するメリットを垣間見ることができる。

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 5年前、米Gartnerが受けたオープンソースデータベースに関する問い合わせ件数は1年間で12件だった。米EnterpriseDBの報告書「Open Source: the new database standard」によると、2014年に受けた問い合わせ件数は110件に上ったという。数字そのものは小さいものの、オープンソースを受け入れるCIOが増えていることを表している。

 オープンソースソフトウェア(OSS)は、サーバごとにも、コアごとにも、ユーザーごとにもライセンス料金を支払う必要がない。ライセンスコストを削減できることは、ピーク時のWebトラフィックを予測できない事業を中心に、OSSを採用する際の大きな原動力になっている。

 また、大きな成功を収めたWebサイトが作成したオープンソースツールもあることから、オープンソースでWebスケール事業に内在する問題を解消できることも実証済みだ。例えば、米LinkedInのエンジニアリングチームは、自社アプリケーションを疎結合して相互に連係させるため、メッセージングバックボーンとして「Apache Kafka」を開発した。

 LinkedInのエンジニアリング部長のマンマド・ザデ氏は2015年初め、ブログに以下のように記した。「LinkedInは、Kafkaの拡張性と信頼性、加えてオープンソースと社内コンポーネントの両方を取り巻くエコシステムに大きく依存している。メッセージングバックボーンに対する要望が増えても正常な状態を維持できるよう、Kafkaへの投資を続けるつもりだ」

オープンソースの勝算

 Computer Weeklyは先日、ベッティングとゲーム事業を展開するWilliam Hillにインタビューし、同社顧客の利用形態を変えると期待されるオープンソース基盤の新しいプラットフォームについて話を聞いた。

 イノベーションの課題を解決するために開始されたこのプロジェクトは、データとビジネスをリアルタイムに分析する「Omni」というプラットフォームを提供する。

 William Hillの調査と開発の責任者パトリック・ディ・ロレート氏によれば、ユーザーのプロファイルが登録された「Twitter」など外部ソースのデータと、同社のオンラインベッティングサイトとを連係させることを考えているという。

 「リバプールについてツイートしたユーザーが、その5秒後に当社サイトにアクセスしたら、そのユーザーの興味関心を既に把握していることになる」とディ・ロレート氏は言う。

 Omni向けに作られた最初のアプリケーションは、同社の新しいレコメンデーションエンジンだ。「誰かがベッティングすると、その情報がグラフにリアルタイムに表示される。この情報を他のユーザーが行ったベッティングと組み合わせて提供する」(ディ・ロレート氏)

オープンソースを基盤とする構築

 同社のベッティングサイトは顧客の操作を追跡するために、Apache Kafkaを使用してデータをバッファリングしている。

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