ワイヤレス給電の規格では、2つの規格が標準の座を巡って競争している。それが「Qi」と「Powermat」だ。
Qi(“キューアイ”ではなく“チー”)は、大多数のワイヤレス充電対応「Android」端末が採用している。ワイヤレス給電技術の国際標準規格を管理する業界団体「Wireless Power Consortium」(WPC)の規格であるQiは、ワイヤレス充電プラットフォームとして現在最も広く普及しており、韓国Samsung Electronics、ソニー、韓国LG、台湾HTC、Nokia、台湾ASUS、カナダBlackBerryなど多くの大手メーカーが採用している。
以前のQi規格では、給電速度がコンセントに直接つないだときと比べると遅かった。それでも、ケーブルにつながなくていいので、使い勝手はいい。最近の改良で、送電出力を従来の5ワットから15ワットに引き上げている。ただし、伝送効率は、端末が高速ワイヤレス充電に対応しているかどうかで変わってくる。改良したQiワイヤレス充電ベースに非対応のスマートフォンを置いても充電効率は高くならない。
一方、Powermatは、当初Qiと同じWPCに属していたが、現在は独立路線を歩み、規格管理団体「Power Matters Alliance」(PMA)を設立している。複数の端末で電力消費を検出できる点を評価する多くの企業が採用する規格へと成長した。米Starbucksの店舗や米Delta Airlinesの機内では、スマートフォン充電サービスとしてPowermat規格を導入している。Powermatは、米AT&Tの支援も受けている。AT&TショップにQiの充電パッドがないのもそのためだ。
Powermatは、別のワイヤレス給電規格「Alliance for Wireless Power」(A4WP)に連携を呼び掛けている。A4WPが立ち上げたブランド「Rezence」は、Powermatとはやや異なる方式を採用しているが、両陣営は当面、ブランド名を1つに統合するのではなく、まずは情報共有で連携していく。これはPowermatとRezenceにとって明るい兆しだ。Rezenceには金属ボディのデバイスでも利用できるようになった利点の他に、複数端末に対応可能な大きい充電モジュールなどの技術的優位性もある。
モバイル端末には、QiとPowermatのどちらか一方に対応しているものもあれば、両方に対応しているものもある。ユーザーが本当に望むのは規格を自由に選択できることだ。その望みをかなえるために、両方の規格への対応を決めたメーカーもある。Samsungはそのメーカーの1つだ。同社は「Galaxy S6」シリーズと「Galaxy Note 5」でQiとPowermatをサポートする。今後は他のメーカーでも両方の規格をサポートすることが標準になるかもしれない。
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