Windows 10のエンタープライズユーザーは、必要とするアプリを簡単に入手できる。企業にとっては、ライセンスの管理やインストール/アンインストールが容易になる。
米Microsoftの「Windows Runtime」はストアアプリの背景となるプラットフォームで、「Windows 8」から導入された。「Windows 10」ではさらにユニバーサルアプリ用に改良され、特にビジネスユーザーが重視するセキュリティとアプリケーションのインストール/アンインストールがしやすくなっている。ストアアプリあるいはユニバーサルアプリは普通、「Windows Store」でインストールする。だが、これはコンシューマーに重点が置かれており、ビジネス用プラットフォームとしては魅力に欠ける。ユーザーは個人のMicrosoftアカウントでしかWindows Storeにログインできない。企業がストアアプリのボリュームライセンス契約を結ぶことはできず、もしアプリを入手したユーザーが組織を離れれば、アプリのライセンスもその人物と共に去っていく。
Windows Storeの代替となるのが「サイドローディング」と呼ばれる技術だ。これを使えば組織独自のアプリケーションを導入し、PowerShellコマンドでインストールできる。ただしWindows 8でのサイドローディングは複雑で、特別なアクティベーションキーが必要だった。
Windows 10は新しい「Business Store」でそうした問題を解決している。なお、本稿の執筆時点でBusiness Storeはまだリリースされていない。以下はこのテーマに関するMicrosoftのプレゼンテーションを基にしているため、細部は変更されることもある。
そもそも、このBusiness Storeという名称は分かりにくいかもしれない。Business StoreはWindows Storeに取って代わるものではなく、Windows Storeと併存してWindows Storeを企業利用に適合させるものだ。
Business Store自体は管理者ポータルであり、主に自分の組織のためのアプリケーションの入手と導入という2つの機能を持つ。ある程度の制約もある。最も明白な制約として、Business StoreはWindows 10以降(「Windows 10 Mobile」も含む)しかサポートしない。これで管理できるアプリケーションは、Windows 8ストアアプリかWindows 10ユニバーサルアプリに限られる。
Win32/Win64デスクトップアプリケーションをサポートしないことの限界はMicrosoftも認識していて、コードネーム「Project Centennial」と呼ばれる回避策を用意している。それは、Microsoftのアプリケーション仮想化製品「App-V」の技術を使ってデスクトップアプリケーションを仮想化し、ストアアプリやユニバーサルアプリで使われる.appフォーマットへパッケージ化する。パッケージ化されたアプリケーションはWindows StoreやBusiness Storeを通じてインストールできる。同技術は原稿執筆時点では、プレビュー段階にある。
もう1つの可能性として、「Android」アプリケーションをパッケージ化してWindows 10 Mobileプレビュー版の互換層で実行する方法もある。これらのアプリケーションはBusiness Storeでもサポートされる。
Windows 10では主な変更点の1つとして、ユーザーがローカルアカウントやMicrosoftアカウントの代わりに、「Azure Active Directory」(AAD)を使ってログインできるようになった。AADは「Office 365」のディレクトリだが、非サブスクリプションユーザーでも利用できる。AADはオンプレミスの「Active Directory」と同期もできる。AADサブスクリプションは、無料サブスクリプションも含めてどんな種類のものでもBusiness Storeに対応できる。AADを利用すれば、管理者はBusiness Storeポータルにログインでき、ユーザーはWindows Storeにログインしてビジネスアプリケーションを入手できる。
Business Storeに着手することは、エンタープライズ管理者としてAADで同ポータルにログインすることを意味する。Business Storeへは無料でアクセスできる。最初にログインした後、管理者は同じAAD組織内の他のユーザーにアクセス権を委譲できる。委譲されたユーザーは共同管理者、購買者、ディストリビューターになることができる。購買者はアプリケーションの調達ができるが、ディストリビューターの権限は導入補助に限られる。
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Business Storeは複数のタスクをサポートする。まず、アプリケーションの追加、組織のユーザーのためのライセンス購入、無料アプリケーションの選定ができる。ライセンス料はMicrosoftに支払われ、同社から開発者に支払われる。これはWindows Storeと変わらない。
次に、管理者はアプリケーションをユーザーに割り当てることができる。
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