「Apple vs. FBI」はまだまだ続く
「iPhone」のバックドア論争で見えてきた、裁判所の命令が“時代遅れ”な理由
GoogleやMicrosoftといった大手クラウド事業者が「RSA Conference 2016」のパネルディスカッションで、データ暗号化を巡るAppleと米連邦捜査局(FBI)の法的争いについて論議した。
2016年2月29日に開催された「RSA Conference 2016」のクラウドセキュリティアライアンスサミットで、業界大手のクラウド事業者がiPhoneのバックドア問題に触れ、米連邦捜査局(FBI)と米連邦政府の行動に異議を唱えた。
クラウド事業者のパネルディスカッションは、管理型セキュリティサービス事業者Herjavec Groupの最高経営責任者(CEO)でテレビ番組「Shark Tank」の共同司会を務めるロバート・ハージャベック氏の進行で行われた。2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きたテロ事件の容疑者が使っていたiPhoneのロック解除をAppleに迫ったFBIの対応について、Microsoft、Google、Dropbox、Rackspaceの担当者がそれぞれ見解を語った。
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裁判所はAppleに対し、ロックがかかったiPhoneに捜査員がアクセスできるよう、iPhoneのセキュリティ対策と自動消去機能を迂回するソフトウェアの開発を命令した。Appleはこの命令に争う姿勢を見せている。パネルディスカッションの参加者は、裁判所の命令とFBIの対応に対して批判的だった。
Rackspaceの顧客セキュリティ業務責任者、ダニエル・クレイトン氏は、データを入手して技術でできることと、できないことを見極めようとする政府の取り組みは理解できるとしながらも、「問題は、米政府や英政府、あるいはどこの国の政府にしても、その役割に対する責任が自らにあることを実証してきたとは思えない点にある。従って、その責任がわれわれにあることを確認するのがわれわれの役目だ」と語った。
Dropboxのトラスト&セキュリティ責任者、ラジャン・カプア氏は、自分の意見はiPhoneのバックドア問題に関するDropboxの公式な立場を反映したものではないと前置きした上で、Dropboxは「事の成り行きを見守る」ために、社として対応しないことにしたと説明する。しかしカプア氏自身はこの論争においてApple支持を表明し、iPhoneにバックドアを作らせようとする動きを批判した。
「プライバシーは重要だ。誰かに侵入させる目的で暗号を弱めれば、ドア(バックドア)を作ることになり、誰かがそこを通過できるようになる。これはわれわれの時代において最も重要なトピックの1つだ」。カプア氏はそう話している。
21世紀には時代遅れになった法律
Microsoftのセキュリティ担当ディレクター、ティム・レインズ氏は、同社の社長兼最高法務責任者、ブラッド・スミス氏が2016年2月、米下院法務委員会の公聴会で証言した内容を繰り返した。スミス氏は委員会でAppleを支持する立場から、裁判所の命令は1912年に起草されて議会を通過した「全令状法」(All Writs Act)に基づいていると指摘し、1912年当時の最先端だった技術の1例として、加算器(機械式卓上計算器)を示して見せた。
レインズ氏は、「(スミス氏の言葉を)言い換えると、21世紀の私たちを守るために、私たちは21世紀の法律を必要としている」と述べ、スミス氏の証言からこの問題についてもっと知ってほしいと観客に促した。
Google for Workのセキュリティ担当ディレクター、イーラン・ファイゲンバウム氏は、状況を階層的に捉えてみせ、「Appleが線引きをしたこと自体は歓迎する。(だが)正しい場所に線を引いたのかどうかは分からない。もしかしたらやや先へ行き過ぎて、少しずつ動かす必要に迫られているように思う」との見方を示した。
一方でファイゲンバウム氏は司法が実質的に「新しい法律を作ろうとしている」と批判した。Appleに自社製品をハッキングさせる目的で全令状法を利用するのは、同法の本来の意図とは懸け離れていると指摘し、「この問題を立法府に戻し、裁判所からその部分を除外することを切に望む」と話した。
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