身代金を支払ってもデータは回復しない
偽ランサムウェアまで登場、仁義なきサイバー犯罪はどこまで“進化”する?(1/2 ページ)
新種のランサムウェアが登場した。これはファイルを暗号化せずデータを消去するにもかかわらず、被害者をだまして身代金を支払わせようとするものだ。
今日、ランサムウェアが大きな脅威となっている。こうしたデータ消失の恐怖に付け込もうとしているのが新種の「ランサムウェア」だ。この新ランサムウェアは「Ranscam」と呼ばれ、スケアウェア(偽セキュリティ対策ソフトウェア)と共通する部分が多い。ランサムウェアに攻撃されたとユーザーに思い込ませるが、実際にはデータを暗号化せずに消去してしまうのだ。
新ランサムウェア「Ranscam」
Ranscamを発見したのは、Cisco Talos(Cisco Systemsのセキュリティ研究部門)のセキュリティ研究者であるエドマンド・ブラマギン氏とウォーレン・マーサー氏だ。両氏によると、この新ランサムウェアには「従来の典型的な手口との共通点は少ない」という。
ブラマギン氏とマーサー氏はブログ記事に「泥棒たちにはもはや仁義がない」と書いている。この新ランサムウェアは、被害者が要求に応じたとしても、ファイルを復元するという保証がないからだ。
「Ranscamは複雑なマルウェアではなく、恐怖を煽るさまざまな手法を用いてユーザーにお金を払わせようとする。例えば、被害者の全てのファイルを隠れたパーティションに移動し、暗号化したという警告画像を表示するといった具合だ」と両氏は説明する。この画像の中にある支払い確認ボタンには、「支払い確認をしなければ、追加ファイルを削除する」と記してあるが、ボタンをクリックしてもエラーメッセージを表示するだけだ。
「残念ながら、実際にはユーザーのファイルは全て削除されており、ランサムウェアの作成者によって復元することはできない。Ranscamには復元機能が組み込まれていないからだ」と両氏氏は記している。作成者は、ファイルを復元できると被害者に信じ込ませて身代金を支払わせるために、こうしたトリックを利用しているというのだ。
Palo Alto NetworksのUnit 42部門で脅威調査アナリストを務めるジョッシュ・グランツベイグ氏によると、被害者のファイルはWindows自身の機能である削除コマンドによって削除されるという。
「事実上、これらのファイルは永久に削除されたと見なすことができる」とグランツベイグ氏はTechTargetの取材で語った。「とはいえ、フォレンジクス手法を使えば、これらのファイルの一部を後から抽出できる可能性があるのは確かだが、その保証はない」
Cisco Talosは「この新ランサムウェアの作成者は、それほど高度な技術を持っていないスレットアクター(セキュリティを脅かす組織や個人)のようだ。全ての支払いおよび全てのサンプルに対して同じビットコインアドレスを使い回しているし、コーディングのミスもある」と指摘する。
「今のところ、Ranscam攻撃は広範囲に及んでいないようであり、このスケアウェアを利用した大規模なメールスパム攻撃も起きていない」とブラマギン氏とマーサー氏は述べている。「Ranscamは、悪人たちがランサムウェア/スケアウェアの分野に進出する願望を抱いていることを示している。このケースに見られるように、彼らは斬新な攻撃手口や本格機能を備えたランサムウェアを使う必要がない。これは素人のマルウェア作成者の仕業のように思える。洗練された攻撃ではない」(両氏)
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