一時「Google Play」から入手可能に
Androidの“正規アプリ”4種にスパイウェア混入――業界蒼白の仕組みとは
「Google Play」で公開されていた4種のAndroidアプリにスパイウェアが混入されていたことが判明した。このスパイウェアはどのような仕組みなのか。なぜGoogle Playの審査を通過できたのか。
大使館の情報や特定地域のニュースを提供する4種のAndroidアプリケーションに、海外旅行者などを狙ったスパイウェア「Overseer」が混入していたことが判明した。これらのアプリはGoogleの公式アプリストア「Google Play」から削除された。
Overseerは、インストールされたデバイスから連絡先、メール、GPS(全地球測位システム)などのデータを収集していた。このスパイウェアはどのような仕組みで動作していたのか。これらのアプリは、どのようにしてGoogle Playに潜り込んだのか。
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スパイウェア「Overseer」の仕組みとは
2016年初めに、悪意あるアプリ「ZergHelper」がAppleのアプリ審査をすり抜けて、Appleの公式アプリストア「App Store」で公開されていたことが分かった。このアプリは位置情報を悪用し、悪意ある挙動を中国以外のエンドユーザーには見せないようにしていた。
2016年9月にはセキュリティ企業Lookoutの研究者が、Overseerが混入したAndroidアプリを発見したことを明らかにした。海外にある大使館を検索するアプリ、ヨーロッパニュースのアプリ、ロシアニュースのアプリ、ロシア語のアプリの計4種だ。これらのアプリはGoogle Playで提供されていたが、Lookoutから通報を受け、Googleは直ちにこれらを削除した。
ニュースアプリとロシア語アプリはダウンロード数がかなり少なく、レビューもでっち上げたもののようだった。だが大使館検索アプリはそれなりに人気があった。任意の地域で大使館の所在地を調べたい、旅行者向けの検索ツールとしての体裁が整っていたからだ。
Overseerは、これらのアプリがインストールされたデバイスから多くの情報を集めていた。例えば
- ユーザーアカウントの詳細
- 連絡先(氏名、電話番号、メールアドレス、連絡回数など)
- 位置情報
- デバイスに関するデータ(ID番号、ルート化されているかどうかなど)
といった具合だ。これらの情報は攻撃者のコマンド&コントロール(C&C)サーバへ送信していた。攻撃者はこれを受けて、攻撃を拡大するためにどのようなマルウェアや脆弱(ぜいじゃく)性を悪用するコード(エクスプロイト)を追加ダウンロードするかを判断できる。
Androidアプリに混入したOverseerが、Googleの精力的な審査をすり抜けたのはなぜか。これらが常時起動しているものではなく、目立たない形でC&Cサーバと通信していたからだろう。Overseerは15分ごとにしかC&Cサーバへ接続しておらず、これは攻撃者からの指示がないかどうかの確認を目的としていた。ちょうど指示が発行されているときか、または実行されているときに分析しなければ、異変は見られなかっただろう。
Overseerが接続するC&Cサーバは、Amazon Web Servicesの同名クラウドサービスにホストされた、オープンソースのBackend as a Service(BaaS)基盤「Parse Server」環境に置かれていた。C&CサーバとOverseer間のトラフィックは、HTTPSを使って暗号化されていた。人気があり、信頼されているクラウドサービスへの暗号化トラフィック自体は、異常なものではない。そのため多くのセキュリティ監視ツールは、疑わしいトラフィックとは見なさないだろう。
エンドユーザーは、海外旅行中も会社のセキュリティポリシーに従う必要があり、ネットワーク接続デバイスを使うときは、特に注意しなければならないことを思い出すべきだろう。スパイウェア攻撃の標的にされやすいからだ。
位置情報を利用するマルウェアは増加傾向にあるようなので、海外滞在中にアプリをダウンロードするのはリスキーだろう。マルウェアが公式アプリストアによる通常の審査を通過してしまっている可能性があるからだ。マルウェアのこうした“ごまかし”を今後防ぐために、主要アプリストアが審査プロセスで位置情報関連のチェックを強化してくれることを期待したい。
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