「Android 7.0」はiOS並みの安全性
最新版登場でも残る危険な“レガシーAndroid”、原因はGoogleかスマホメーカーか(1/2 ページ)
Android端末のセキュリティ機能が最新バージョンの「Android 7.0 Nougat」で強化される。ただしこの恩恵を全てのユーザーが享受できるかどうかは不明瞭だ。
法人向けモバイル市場では、セキュリティが差別化の鍵を握る。GoogleのモバイルOS「Android」の評判はこれまでずっと、Appleの「iOS」やBlackBerryの「BlackBerry OS」などに後れを取ってきた。だがGoogleは次期バージョンの「Android 7.0 Nougat」でようやく、Android端末をそうした競合製品と同じくらい、安心してネットワーク管理者に使ってもらえる製品にしたい意向だ。
本稿ではAndroid 7.0でセキュリティがどう変わるかを取り上げ、法人に与える影響や、モバイルセキュリティに関してGoogleにまだなすべき分野があるかどうかについて検証する。
Androidを悩ませるアップデートの問題
Android端末にまつわる最大の問題は、アップデートの配信とインストールだった。何百万台もの端末がいまだに「Android 4.4 KitKat」やそれ以前のバージョンを使い続け、攻撃にさらされかねない状態にある。
最新版に更新していないエンドユーザーがこれほど多い理由は2つある。まず第1に、更新通知を無視するエンドユーザーが多いこと。第2に、Googleはエンドユーザー向けにリリースするアップデートのプッシュ配信を端末メーカーや通信事業者任せにしていることだ。
GoogleはAndroid 7.0で、アップデートの適用を高速化する「シームレスアップデート」を採用したことで、少なくとも第1の問題は解決できると期待する。GoogleのクライアントPC向けOS「Chrome OS」は、既にシームレスアップデートの恩恵を受けている。
シームレスアップデートでは、古いシステムイメージ用と、アップデート適用後のシステムイメージ用に、2つの分離したシステムパーティションを用意して更新を進める。Android 7.0はシステムのアップデートをバックグラウンドで自動的にダウンロードして、次に端末を起動した時に新しいバージョンに切り替える。
セキュリティ対策は常に、単純で邪魔にならないほどうまく機能する。シームレスアップデートでは、端末を再起動する以外はエンドユーザーが何も操作することなく、パッチやシステムのアップデートがインストールされる。
シームレスアップデートがセキュリティ向上とユーザーエクスペリエンスの強化に寄与する一方で、音楽や動画などを再生するプロセス「メディアサーバー」の刷新は、Android端末の真のセキュリティ強化を実現させる。Android 7.0では、メディアサーバーをコンポーネント単位に分割した上で、パーミッションが異なる複数のサンドボックスに各コンポーネントを分割配置することで、必要に応じて最低限の権限のみを与える「最小権限の原則」を守りやすくなる。
Android 7.0は、メディアサーバーやWebブラウザの「Google Chrome」などサンドボックス化したアプリケーションに対して、Linuxカーネルのセキュリティ機能「seccomp」を適用する。開発者はseccompを使ってアプリケーションの守りを強化し、攻撃に対抗できる。この狙いは、多大な影響を及ぼしたメディア再生エンジン「Stagefright」の脆弱(ぜいじゃく)性問題の再発を防ぐことにある。Stagefrightの脆弱性は、メディアファイルがAndroidシステムに対して持つアクセス権限を悪用して、Android端末を制御可能にする。
seccompは、脆弱性を端末全体ではなく1つのコンポーネントにとどめる。さらに独立してアップデート可能なコンポーネントには、フルシステムアップデートとは別に迅速にパッチを適用可能にする。これは、GoogleがHTMLレンダリングエンジン「WebView」のコンポーネントをメインのOSから切り離したのと同様の措置となる。
セキュリティと利便性のバランスを巡る果てしない問題で脚光を浴びるのが、暗号化だ。Androidはこれまで、ブロックレベル暗号化やフルディスク暗号化といった手段を使って、端末のストレージ全体を暗号化してきた。これは確実な暗号化の手段ではあるが、パフォーマンスに与える影響が大きい。
多くの端末メーカーは速度を重視して暗号化を無効にしており、Android端末のセキュリティを犠牲にしている。Android 7.0では各社がパフォーマンスを損なうことなく、暗号化が可能で手頃な価格のAndroid端末を製造できるよう、認証付き暗号(AEAD: Authenticated Encryption with Associated Data)を使ったファイルベースの暗号へ移行する。
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