フラッシュストレージの性能を引き出すNVMe。ストレージを効率的に運用する共有ストレージ。両者の融合が共有DASだ。ベンダーはとてつもなく高いIOPS値をアピールするが、本当だろうか?
10年か20年前のことを思い出してほしい。当時はダイレクト接続ストレージ(Direct-Attached Disk:DAS)が標準だった。つまりサーバ内蔵HDDだ。
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やがて仮想化の革命がデータセンターを席巻し、この方式はやや時代遅れといわれるようになった。複数のHDDを孤立状態でサーバに内蔵するのは非効率的だ。また、「I/Oブレンダーエフェクト」(注)を軽減するため、ストレージの集約と共有が求められた。従って、ワークロードが多数ある場合はプライマリーおよびセカンダリーストレージを共有ストレージにするのが標準となった。
注:多数の仮想マシンで入出力要求が同時に発生すると、ストレージのパフォーマンスが低下すること。
ところが近年、いわゆるハイパースケールコンピューティングが普及してきた。Webサービス界の大手企業が主導したもので、演算装置とストレージで構成した自己完結型ノードをグリッド状に集約する。
企業向けのストレージアレイと違い、この場合のノードはコモディティコンポーネントで構成される。障害が発生するとサーバとストレージのノード全体がスワップアウトされ、レプリケーションなどはアプリで処理される。
ハイパースケールモデルは、Webのユースケース、特に「Hadoop」などで実行するアナリティクスに適している。
ハイパースケールはまた、サーバとストレージを1つの筐体に集約した「ハイパーコンバージド」と呼ばれる製品が登場するきっかけにもなった。ハイパーコンバージドはその後、市場で急速に普及していく。
しかしながら、非常に高性能なストレージの必要性から、ここまでに説明した流れとは部分的には明らかに矛盾したDASアレイも登場した。この動向の鍵となるのはNVMe(Non-Volatile Memory Express)の台頭だ。PCIeベースのインタフェースでは、HDD時代のSASとSATAに比べてI/Oの性能が格段に高い。これによってフラッシュ本来の高性能を生かすことを狙っている。
NVMeを使って各ベンダーは「NVMe over Fabric」といった方式を開発し、フラッシュストレージにNVMeの接続性やラック規模の拡張性を加えるようになった。
この分野の主要ベンダーは、「DSSD D5」を発売しているEMC、「D24」の発売元であるE8、Apeiron Data Systems(以下「Apeiron」)、Mangstorだ。さらにExcelioとPavilion Data Systemsも加えていいだろう。
こうしたベンダーが提供しているのは、まるでダイレクト接続であるかのように機能する、低レイテンシで高いIOPS値を実現する、非常に高性能のストレージだ。
まずアピールする数字として(読者は話半分で受け取るべきだろう)、各社ともIOPS値は最大1000万、レイテンシは100マイクロ秒以下と主張している。
この数字は、ストレージのファブリックまたはネットワークをI/Oのパスから外し、NVMeの利点を生かすことで実現したものだ。
一部のベンダーは、コントローラーもデータパスから外してパフォーマンスを向上させようとしている。これに当てはまるのがApeironだ。同社製品は、接続したサーバ内のホストバスアダプター(HBA)である程度の処理を実行するが、多くをアプリケーションに任せている。また、Mangstorも同様の方式を採用しているように思われる。
EMCのDSSDには、2つの「制御モジュール」が備えられている。1つはRAID(プロプライエタリな「キュービックRAID」)を扱い、もう1つは恐らくDSSDの内部オブジェクトベースのファイルレイアウトを扱っている。E8は、LUNとシンプロビジョニングを扱う、何らかのコントローラーを配置しているようだ。
EMCとMangstorはプロプライエタリなドライブで動作する製品だが、E8とApeironはコモディティのカードを使用している。
この「共有DAS」の新しい流れについて、筆者には1つ疑問がある。
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