期待が高まる「医療AI」分野
AIで医療はどう変わる? 専門家が実例を語る
医療サービス提供者や製薬会社などの医療機関は、個人に最適な介護サービスや治療後の処置を提供するために、高度なAIテクノロジーの使用に乗り出している。
コンサルティングとサービスを提供するSapient Healthでマネージングディレクターを務め、医療AIの専門家でもあるピーター・ボーデン氏は、医療機関が革新的なAIテクノロジーを医療エコシステムで活用するのをサポートしている。
本稿では、ボーデン氏が、医療AIの活用が臨床試験と、患者個人の特徴やポピュレーションヘルス(総合的な健康情報活用プラットフォーム)を利用して退院後の指示をカスタマイズする作業にどう役立つのかについて語る。
――医療分野で高度なAIを活用できるユースケースには、どのようなものがありますか。
ボーデン氏 当社が大きな期待を寄せているのは臨床診断だ。臨床診断にAIを活用することは、非常にワクワクする状況だ。デジタルパソロジー(デジタル病理画像による病理診断)とAIの組み合わせは、かなり衝撃的なサービスだ。
当社は、この拡大する市場と個人の健康診断に対してチャンスがあると考えている。これは私の個人的な見解だが、今後の個人の健康診断は、従来の医療分野で考えられてきたものとは異なると考えている。
――患者が病院から他の環境に移るとき、新たな形の医療AIは移行期の治療にどのような影響を及ぼすと思われますか。
ボーデン氏 今よりずっと個人の状況に即した退院プランを策定するためにAIを使用することができる。患者に必要なサポートと、患者が受けているサポート、患者と関わりを持つことができるコミュニティー、家族、ケアチームのメンバー、彼らがどのように患者と関わりを持つことができるのか。都市部と地方のどちらに住んでいるのかというような情報に基づいてプランを策定できる。
――医療AIは、社会的、経済的な要因も考慮にいれることが可能でしょうか。
ボーデン氏 もちろん。何らかのプランに基づいて退院しても、それが患者の生活状態に合っていないこともある。AIは、特定の患者に対して提供すべきサービスを見つけるのに役立つ。例えば、患者が通院するために送迎サービスが必要な場合もある。
ただし、患者に対してアラートやお知らせを送る際には、その方法がとても重要になる。手段に気を付けなければならない場合もあれば、言葉の使い方に気を付けなければならない場合もある。そのため、メッセージを伝える際には、その患者のこれまでの行動や性格をよく理解し、そのメッセージがどう影響するかをよく考えることが重要だ。Fitbitのアプリのようにフランクに人にメッセージを伝えるのか、内向的な人の場合にはどのように伝えるのかなどを考える必要がある。
臨床データとアクセスデータを行動データと組み合わせると、このような個人の状況に応じて対応を変えることができる。
――感情知性(Emotional Intelligence)は医療AIを活用する上でどのように役立ちますか。
ボーデン氏 メディアやデジタルの使用状況とソーシャルコマースの分析に音声を加えた状況を想像してみてほしい。当社では、センチメント分析、意図分析、行動分析に取り掛かるために、これらのデータセットを組み合わせて多くの作業を行っている。例えば、当社のヘルスチームは、医療AIを臨床試験に導入し始めている。具体的には、臨床試験に適した候補者を見つけるのに使用している。候補者の検討段階に入ったら、各種AIを使って、さまざまな要素、対象に含める条件、除外する条件に基づいて適切な候補者群になるまで患者を絞り込むことができる。また、複雑な臨床試験では適切な候補者になるまで患者はふるいにかけられる。通常、この作業には数カ月間の時間を要するが、当社はこの作業を数時間で完了できる幾つかのツールを持っている。
――臨床試験や薬物検査と対照的なものとして、医療サービス提供者が使用している大規模な電子カルテやクラウドベースのポピュレーションヘルスシステムがあります。このようなシステムに医療AIを組み込むことはできると思われますか。
ボーデン氏 医療AIは、母集団を確認して、今後の何らかの問題が起こりそうな患者を特定することができる。例えば、糖尿病予備軍から糖尿病になりそうな患者を見つけるなどだ。そして、そのデータを調べて、さまざまな合併症を抱える患者や治療が高額になる患者を確認するのが望ましいだろう。具体的には、治療介入の効果が見られそうな患者、治療介入に効果が見られる可能性がない患者などだ。病状が進行する可能性、治療の効果がある可能性、数値に効果がある可能性を考えて、本当に集中して対応すべきグループを見つけ出すことが可能になる。
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