一般データ保護規則(GDPR)の主な要件を満たすために、どこから手を付ければいい?慎重な分析、計画、設計を

EU一般データ保護規則(GDPR)を順守する大きな第一歩は「最も重要な要件を満たす」ことだ。本稿では、GDPRを順守するためにまずどこから手を付けるべきかを概説する。

2018年01月24日 05時00分 公開
[Steven WeilTechTarget]

 2018年5月25日に欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」が施行となる。EU諸国でビジネスを行う企業のほとんどが、GDPRのデータプライバシーとセキュリティの要件を不足なく適切に満たす方法について頭を悩ませている。

 GDPRは、その所在地にかかわらず、EU諸国に居住している人々の個人データを処理、保持する全ての企業に適用される。

 GDPRの要件に順守しないと重い罰金が科せられることもある。違反した場合の罰金は最高で、全世界における年間売上高の4%、または2000万ユーロのいずれか高額な方になる。

 そのため企業は、GDPRの主な要件の幾つかと、それらを順守する実際的な方法について理解を深める必要がある。

GDPRが自社にどう適用されるかを定義する

 まず、GDPRが自社にどう適用されるかを見極めることだ。GDPRの対象となる企業は「データ管理業者」と「データ処理業者」の2種類に分かれる。

 データ管理業者とは、個人データを処理する目的や方法を決定する企業を指す。EUデータ主体に製品を販売しながら個人データを収集する小売業者などがこれに当たる。データ処理業者とは、データ管理業者の代理で個人データを処理する企業を指す。小売業者の代理でEUデータ主体に電子メールを送信するマーケティング企業などがこれに該当する。

 GDPRは、EU市民、EU市民以外でEU諸国内に居住する人々、さらにはEU諸国を訪れている観光客など、EUのあらゆるデータ主体に適用されると想定される。

 GDPRの要件は、EUデータ主体の個人データを処理または監視する企業であれば、拠点がEU諸国外であっても適用される。例えばEUデータ主体によって使用され、その個人データを収集するアプリケーションの開発会社は、米国を拠点にしていてもGDPRの適用を受ける。

 自社がデータ管理業者とデータ処理業者のいずれかに該当するかを見極める。それが、自社のGDPR履行義務を理解することと、適切な統制を実装してGDPRを順守することにおいて不可欠な第一歩になる。

個人データマップを作成する

 GDPRの要件を満たそうとする企業の大半にとって非常に厄介なのが、GDPRによる個人データの定義だ。GDPRが定義する個人データは幅広く、「個人を直接的または間接的に特定するために使用できる、個人に関連するあらゆる情報」としている。そのようなデータの一例には次のものがある。ただし、これには限定されない。

  • 氏名
  • 写真
  • メールアドレス
  • 金融口座の詳細
  • ソーシャルネットワークサービス(SNS)の投稿
  • 医療情報
  • IPアドレス
  • ID番号

 適切な統制とプロセスを実装して個人データを保護するには、これらの情報を収集、管理、保存する方法を完全に特定して計画する必要がある。また、企業が情報を入手し、社内で扱い、社外に出す一連の方法についても同様だ。保持している個人データや、関連データを扱うプロセスを保護することが定められているため、それらを特定も理解もしないままGDPRに順守することは難しい。

 個人データマップは、個人データを仮名化して非人格化できる部分を見つけるのにも役立つ。仮名化と非人格化はGDPRによって推奨されている。

 中小規模の企業なら個人データを手動でマッピングできるかもしれない。だが大企業は恐らくIntegrisやOneTrustなどのベンダーが提供するデータマッピングツールを使用する必要があるだろう。

サイバーセキュリティのベストプラクティスを実装する

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウドに必要な「データドリブンなセキュリティ」を実現する方法とは?

クラウド利用が当たり前となった今日、セキュリティ対策もまたクラウド環境に適したものでなくてはならない。とはいえ、大量のデータポイントが生成されるクラウド領域にあって、その全てのポイントを網羅するのは並大抵のことではない。

製品資料 TIS株式会社

Web攻撃総数の2割以上が狙うAPI、適切な管理とセキュリティ対策を行うには?

ビジネスでのAPI利用が進むにつれ、そのAPIを標的としたサイバー攻撃も増加している。それらに対抗するためには、「シャドーAPI」や「ゾンビAPI」を洗い出し、セキュリティ対策を徹底する必要がある。その正しい進め方を解説する。

製品資料 Okta Japan株式会社

アイデンティティー管理/保護の注目手法、「IGA」とは何か?

ある調査で企業の61%がセキュリティ優先事項のトップ3に挙げるほど、重要度が高まっているアイデンティティー管理・保護。その中で昨今注目されているのが「IGA」というアプローチだ。そのメリットや、導入方法を解説する。

製品資料 株式会社エーアイセキュリティラボ

AIで人材不足を解消、セキュリティ担当者のためのDXガイド

DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティ運用を最適化し、SOCの負担を軽減する「SOAR」とは?

サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/05/04 UPDATE

  1. 邵イ迹夲スコ�ォ闔会ス」鬩・莉」�定ャセ�ッ隰�シ披鴬邵イ蝣コ�サ�・陞滓じ�ス郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�オ郢晢ソス郢ァ�ヲ郢ァ�ァ郢ァ�「陝�スセ驕イ謔カ�ス隴幢スャ陟冶侭竊鍋クコ繧�ス狗クコ�ョ邵コ蜈キ�シ�ス
  2. 闖ォ�。鬯�スシ邵コ蜉ア窶サ邵コ�ス笳�Web郢ァ�オ郢ァ�、郢晏現窶イ邵コ�セ邵コ霈板ー邵コ�ョ隲「貊捺イ定イ�腸�シ貅伉€ツ€邵イ譴ァ�ー�エ鬯滂スイ邵コ�ソ陜」�エ陜吝玄蛻、隰ヲ�スツ€髦ェ�ス隰�唱蜩ィ邵コ�ィ邵コ�ッ
  3. 邵イ遯殫p Store邵イ髦ェ��クイ髫�oogle Play邵イ髦ェ縲堤ェカ諛キ莠幃ォッ�コ邵コ�ェ郢ァ�「郢晏干ホ懃ェカ譏エ�帝囎蛹コ�・�オ郢ァ竏夲ス玖ュ�スケ雎包ソス
  4. PDF郢ァ蜻茨スー蠍コ�サ蛟・ツー郢ァ蠕娯�邵コ�ォ隰セ�ケ邵コ謔カ�難ソス貅伉€ツ€郢晢ソス縺夂ケァ�ソ郢晢スォ驗ゑスイ陷キ髦ェ�定セ滂ス。隲「荳櫁「冶峪謔カ笘�ケァ蛹コ辟碑愾�」
  5. 郢晢ソス�ス郢ァ�ソ邵コ譴ァ�シ荳岩斡邵コ�ス��邵コ貅假ス臥クイ竏ス�シ竏オ�・�ュ邵コ�ッ邵コ�ゥ郢ァ蠕娯味邵コ隨ャ骭千ケァ蛛オ笘�ケァ蜈キ�シ貅伉€ツ€IBM髫ア�ソ隴滂スサ邵コ�ァ陋サ�、隴擾ソス
  6. 闕ウ閧エ�ュ�」邵コ�ェ郢ァ�オ郢ァ�、郢晏現�堤ケ晄じホ溽ケ晢ソス縺醍クコ蜷カ�玖セ滂ス。陷�コ假ソスDNS郢ァ�オ郢晢スシ郢晁侭縺帷クイ鄒、uad9邵イ�ス
  7. iPhone邵コ�ョ郢昜サ」縺帷ケ晢スッ郢晢スシ郢晁歓�ス陷榊供�ス陷牙ク卍€譎ッCloud 郢ァ�ュ郢晢スシ郢昶�縺臥ケ晢スシ郢晢スウ邵イ髦ェ窶イ陞ウ迚呻ソス邵コ�ィ邵コ�ッ髫ェツ€邵コ�ス�ス郢ァ蠕娯�邵コ�ス轤企€包スア
  8. 郢昜サ」縺帷ケ晢スッ郢晢スシ郢晏ウィ�堤ケァ�ス�∫クコ�ヲ邵イ蠕後Τ郢ァ�ケ郢ァ�ュ郢晢スシ邵イ髦ェ竊馴§�サ髯ヲ蠕娯�郢ァ荵昶�驍ィ莉呻スアツ€闖エ霈披€イ邵コ�ス�檎クコ蜉ア�橸ソス�ス
  9. 闕ウツ€闖エ阮吮�邵コ諛カ�シ貅伉€ツ€Winny�ス霈ッhare驍ィ讙守スー邵コ�ョ隲��ス�ス�ア雋堺ク岩斡邵コ�ス窶イ驍ィ�カ邵コ蛹サ竊醍クコ�ス�ィ�ウ
  10. 邵イ蜍イicrosoft Edge邵イ髦ェ窶イ郢晄じホ帷ケァ�ヲ郢ァ�カ郢昜ク翫≧郢ァ�ク郢晢ス」郢晢ソス縺醍クコ�ォ隲「貊捺イ堤クイ竏壹@郢ァ�ッ郢晢ソス竊帝ャァ�ス蜍∫クコ蜷カ�狗クコ�ォ邵コ�ッ�ス�ス

一般データ保護規則(GDPR)の主な要件を満たすために、どこから手を付ければいい?:慎重な分析、計画、設計を - TechTargetジャパン セキュリティ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...