AIを搭載した音声アシスタントが人間同士の会話に近づくために解決すべき技術的課題とは何だろうか。音声アシスタントの利用動向を予測する。
直近四半期の収益を知りたいなら「Cortana」に聞けばいい。そんな日が来るとしたらどうだろうか。
Gartnerでアナリストを務めるスベトラーナ・シキュラー氏は、そういう日が来るという。同氏は「Gartner Data and Analytics Summit」で、音声アシスタントが人間同士の会話に近づくためにこれから解決すべき技術的課題について語った。例えば、音声アシスタントはコンテクストを認識する能力や時間帯による意味の変化への対応などがまだ弱いという。また、同氏は人工知能(AI)サービスに会話型技術を組み込む場合のポイントや、ベンダー各社のAI関連技術の進歩によって音声アシスタント対応のビジネスアプリケーションが登場する展望についても語った。
「(AI音声市場に参入している)各社は皆、ビジネス分野に進出する準備を進めており、ビジネス関連機能を開発している」とシキュラー氏は語る
現在は、音声アシスタントの機能はまだ初期段階にあり、会議室の予約や、複数参加者の会議のスケジューリング、電子メールの読み上げなど単純な用途に限られている。しかし、そう遠くない将来、シキュラー氏が「従業員用アシスタント」と呼ぶ職場向け音声アシスタントが、単に会議を予約するだけでなく、会議で主体的な役割を果たす日が来るかもしれない。
そのような会議では、音声アシスタントが従業員にビジネスデータやアナリティクスの情報を伝えることができる。それも「何千行ものレポートを一度に読み上げるのではなく、データから重要な分析結果や変更点をかいつまんで伝えてくれるようになるだろう」(シキュラー氏)というのだ。
金融機関などでは、音声アシスタントをコンプライアンス対策に試験運用しているという。従業員は「これは問題ないか」「あれは会社の規約に違反しないか」と、音声アシスタントに質問して確認できる。こうした限定的な使い方も検討の余地があるだろう。
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