IntelとAMDは長年のライバル企業であり、それぞれのサーバプラットフォームで常に競合している。
エッジコンピューティング、ソフトウェア定義のネットワーク、ストレージといったアプリケーションをターゲットにした組み込み製品が両社からリリースされたことにより、競争は新たな局面を迎えた。こうして両社のライバル関係は再び注目されることになった。
2017年半ば、AMDはZenマイクロアーキテクチャに基づく「EPYC」プロセッサの新ポートフォリオを発表してサーバ市場に復帰すると宣言。その1カ月後、IntelはSkylakeマイクロアーキテクチャに基づく「Xeon Scalable」ファミリーを発表した。
この2つのラインアップは機能や性能において幾つか異なる点があるが、どちらも数十個のCPUコアを搭載し、大容量メモリをサポートしており、明らかにデータセンターでの利用を想定した製品だ。
2018年に話を戻すと、2月にIntelは「Xeon D-2100」シリーズを発表した。これはシステムオンチップ(SoC)プロセッサで、同じくSkylakeコアがベースだが「エッジアプリケーションやデータセンター、スペースや電力に制約のあるネットワーク向けアプリケーションのニーズに応える設計だ」と同社は主張している。
わずか数週間後、AMDもサーバチップと「Ryzen Embedded V1000」シリーズをベースにした「EPYC Embedded 3000」シリーズを発表した。「Ryzen Embedded V1000」シリーズは同一チップ上にCPUコアとGPUコアを実装したRyzenデスクトッププロセッサをベースにしている。
Intelと同様に、AMDはこの新しいプロセッサで「コアからエッジへの変換」を実現できると、盛大にアピールしている。
両社とも、特にエッジコンピューティングというトレンドの中で組み込み用途の拡大を認識している。エッジコンピューティングは、工場のフロアや自律運転車両などに高い演算能力を備えたシステムを配置することと定義される。こうすれば、データを遠隔地にあるクラウドデータセンターに送信することなく、その場で処理することができる。
組み込みプロセッサは従来、ハードウェアアプライアンスに組み込まれてその役割を果たしてきたが、ここまでの性能を備えるに至ったことで、データセンター内のネットワークキットやストレージハードウェアのコントローラーとしての機能を持たせる可能性も出てきた。
そこでIntelもAMDも、ビルトインのイーサネットポートやユーザーが構成を変更できる入出力(I/O)ポートなどのオンチップ機能を、それぞれのサーバプロセッサに追加した。
IntelのXeon D-2100ファミリーは、
の3つに分かれている。QuickAssistテクノロジーのグループは、最大100Gbpsのスループットで暗号化などの機能を実現するオンチップハードウェアアクセラレーションを搭載している。暗号化されたトラフィックをセキュアなネットワークに送ることを目指したもので、さらに高性能ストレージアプリケーションでのデータ圧縮も強化する。
シリーズ最上位の「サーバおよびクラウド」チップは、18コアの「Xeon D-2191」だ。メインストリームの「Xeon Scalable」プロセッサは最大28コアのモデルがある。Xeon D-2191はネットワークサポートがないという点がユニークだ。他のチップには4つの10Gbpsのイーサネットポートがある。
全てのチップには4つのメモリチャネルがあり、最大512GBのDDR4メモリをサポートする。IntelはXeon D-2100チップ全種に、32レーンのPCI Express(PCIe)3.0に加え、20種類の構成可能な高速I/O(HSIO)ラインを装備した。つまり、ソフトウェア定義によってPCIeをさらに20レーン増設したり、最大14個のSATAポートまたは最大4個のUSB 3.0ポートを配備したりすることもできる。
Xeon D-2100シリーズで、プラットフォームコントローラーハブを別チップとして配置するのではなく、プロセッサパッケージ内に統合した。一方、AMDのEPYCファミリーは当初から統合していた。この動きは、システムの構築に必要なチップが減少することを意味する。
AMDのEPYC 3000ファミリーは、コア数で仕様が大別される。
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