アサヒビール×JAL×SOMPOホールディングス、データ活用のための組織と人材を語る「ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018」レポート(1/2 ページ)

データ分析を担う人と組織はどうあるべきか、企業においてデータサイエンスに取り組む3人の担当者が語り合った。

2018年08月09日 05時00分 公開
[高橋ちさ]

 自社のビジネスにデータを活用するための責務は、どの部署の誰が負うべきか。

 ガートナー ジャパンが2018年6月15日に開催した「ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018」におけるパネルディスカッション「三者三様の経験から学ぶ、データ活用人材と組織の在り方」では、多くの企業が答えを出しあぐねている課題について、アサヒビールの山本 薫氏(経営企画本部デジタル戦略部担当副部長)とSOMPOホールディングスの中林紀彦氏(デジタル戦略部チーフ・データサイエンティスト)、日本航空の渋谷直正氏(Web販売部1to1マーケティンググループアシスタントマネジャー)の3人が、それぞれの立場から語った。モデレーターはガートナー ジャパンの一志達也氏(リサーチ部門主席アナリスト)が務めた。

左からアサヒビールの山本氏、SOMPOホールディングスの中林氏、日本航空の渋谷氏、ガートナー ジャパンの一志氏

三者三様、それぞれにとってのデータ活用

 所属する組織も個人の経歴も異なる3人だが、それぞれ、どういう形でデータと向き合っているのか。

 まず、アサヒビールの山本氏は人事給与システム導入やBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)、マーケティングリサーチ、経営企画など、多岐にわたる部門・業務を経て、2014年9月に現職に就いている。

 アサヒビールの中には、デジタルと名前の付く部署が2つあるという。1つが山本氏の所属するデジタル戦略部、もう1つが消費者との接点を作るデジタルマーケティング部で、こちらはマーケティング本部内に設置されている。

 デジタル戦略部では全体の戦略策定に関わる一方、機械学習を活用した新商品需要予測などに取り組む。在庫切れや作り過ぎによる廃棄を避けるためには、経験や勘に頼るのではなく、データに基づいた出荷量の適正化が不可欠になっているのだ。

 日本航空の渋谷氏は営業部門を経てWeb販売部で航空券などのレコメンド施策の立案・企画、実施に当たる。顧客の閲覧傾向に応じてお薦めするコンテンツを使い分けた取り組みは、購入率アップなどの成果を上げ、2014年には『日経情報ストラテジー』による「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

 SOMPOホールディングスの中林氏は日本アイ・ビー・エムを皮切りに、オプトホールディングなどでデータサイエンティストとしてキャリアを築いてきた。2014年4月からは筑波大学大学院の客員准教授としてデータサイエンス人材育成にも取り組んでいる。中林氏は3人の中で唯一、事業会社ではなく全体を統括するホールディングス側に属する。グループ内の事業会社でもそれぞれデータ分析に取り組んではいるが、中林氏の所属するデジタル戦略部は、「国内損保」「国内生保」「介護ヘルスケア」「海外事業」に次ぐ新しいドメインを作ることをミッションとしている。

データサイエンティストをどう確保するか

 多くの企業において、データを扱える人はそれほど多くない。そうした中、データ分析人材をどう確保あるいは育成すればいいのか。一志氏は3人の意見を聞いた。

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