GDPRの施行は、広く活用されているドメイン所有者情報データベース「WHOIS」にも影響を及ぼしている。管理組織のICANNが示すWHOIS変更の内容と、その影響を整理する。
ドメインやIPアドレスの管理組織ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、2018年5月施行の欧州連合(EU)「一般データ保護規則」(GDPR)に準拠して、ドメイン所有者情報をまとめたデータベース「WHOIS」に一部変更を加えることを提案した。これは、WHOIS内のデータにどのような影響を及ぼすのだろうか。正当な情報要求が認められる方法はあるのか。
GDPRは2016年4月14日に採択された。施行されたのは、2年の移行期間を経た2018年5月25日だ。2年の猶予期間があったにもかかわらず、多くの企業は期間内のGDPR順守に悪戦苦闘した。全売上高の最大4%を罰金として科される恐れがあるにもかかわらずだ。理由の一つとして、ユーザーの同意を得る方法と、同意を得る必要があるデータの種類に関する理解が広がっていなかったことが挙げられる。ビジネスの既存の実践方法と、システムに加える必要のある変更の範囲についても、企業は正しく理解していなかった。
非常に多くの企業にGDPRが影響を及ぼすのは、EU域外で処理しているデータも対象になるからだ。EU域外で処理していても、そのデータがEU域内の個人に商品やサービスを提供することや、EU域内の個人の行動を監視することに関連する場合は対象になる。GDPRは、幅広い個人データに適用される。EU域内の人々について集められた氏名、メールアドレス、位置情報、遺伝子データ、生体データなどは全て対象になる。性的嗜好(しこう)や政治信条など扱いに配慮が必要な情報も例外ではない。
GDPRは第4条11項で「データ主体の希望が、自由に与えられた具体的な情報に基づく明示的な意思表示として、発言または明確な肯定的行動によって示される場合、そのデータ主体に関係する個人データが処理されることについて同意するものとする」と規定している。この「同意」がGDPRの要件を満たす方法について、IT部門や法務部門に大きな混乱を招いている。ICANNも例外ではない。
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