リアルタイムアプリケーションをクラウドに移行すると、ネットワークの制御を一部手放すことになる。ただし、幾つかのメカニズムを利用すれば、アプリケーションのパフォーマンスを監視できる。
一般に「リアルタイムアプリケーション」と呼ばれるアプリケーションは、利用者がアプリケーションの実行結果を待つ。音声、動画、画面共有のように分かりやすいものもあるが、ビジネスプロセスや監視システムも含まれることがある。動画のストリーミング配信もある程度リアルタイムアプリケーションといえるが、配信を滑らかにするためにバッファーリング技術が使われることもあるため、真の意味でのリアルタイムアプリケーションではないかもしれない。
リアルタイムアプリケーションに関するネットワークの問題は、そのアプリケーションと使用するデータ転送の仕組みに左右される。双方向(インタラクティブ)な音声や動画は比較的許容度が高く、最大1%のパケットロス(パケットの損失)が発生しても許容できる。こうしたアプリケーションは、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)のパケットストリームを使用し、端末側(エンドポイント)では補間機能を使用して、失われたパケット内のデータを推定する。
一方、大半のインタラクティブビジネスアプリケーションや音声、動画ストリーミングのような伝送制御プロトコル(TCP)を利用するアプリケーションは、パケットロスの影響を非常に受けやすい。TCPを使うアプリケーションでは、0.0001%を上回るパケットロスはスループット(一定時間当たりの処理性能)に大きな影響を与える。
パケットロスが起きると、動画ストリーミングアプリケーションであれば一時停止することになる。その間、送信側のシステムから喪失されたデータが再転送される。その結果、アプリケーションは一時停止しながらデータのバッファーリングをすることになる。
パケットロスは、主に接続経路(リンク)のエラーや混雑に起因する。
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