内部関係者による脅威は企業に重大なリスクをもたらす。本稿では、内部関係者による脅威を防ぐため、身元調査とリスク評価を利用する方法を取り上げる。
企業が犯す恐れのある最も大きな失敗の一つは、「内部関係者による脅威の問題は自社には関係がない」と思い込んでしまうことだ。全てのサイバー犯罪のうち30%近くは内部関係者が引き起こした可能性があることを、さまざまな調査や研究が示している。本稿では、内部関係者による妨害工作、窃盗、不正行為への対処として企業が使える保護戦略を取り上げる。
従業員採用のプロセスは、企業が内部関係者による脅威行動のリスクを低減できる最初の機会だ。
身元調査では、犯罪歴、履歴書の詐称、学歴や専門資格の不正提示について確認を取る。応募者の職場における問題対処能力について、前職の雇用主と話し合うことも必要だ。同僚との問題解消力についても聞き取らなければいけない。応募者の素性を確認することで、ある種の責任から雇用主が身を守れることもある。
採用前の身元調査を実施する場合、留意すべきことが幾つかある。まず、身元調査は法律事務所や民間調査会社に委託することを考える。こうした会社は、守秘義務と応募者への通知要件について、該当する法律を全て確実に守れる。次に、採用前審査はその職位を問わず全ての求職者を対象に実施しなければならないことを企業は理解しておく必要がある。採用前身元調査を実施していない応募者がいると、差別や違法と見なされる恐れがある。
応募者が採用を承諾してから身元調査を実施する雇用主もいる。その場合、必要な身元調査の回数とそれに伴う出費を減らすことができる。一方で雇用主は、採用承諾後それなりの期間にわたって実施される身元調査の結果に応じて、合否が変わる可能性があることを応募者に周知しなければならない。
採用前の身元調査を実施する場合は、その方針をじっくりと検討することが不可欠だ。何を確認するかを決めておかなければならない。例えば、犯罪履歴、職歴、学歴、身元保証人、信用調査、運転歴、判決による確定義務、留置権などが確認対象になる。雇用対象として不適切と見なす不都合な調査結果を厳密に定義することも検討が必要だ。事前に定義しておくことで、企業が差別的な判断を下すのを防ぎ、全ての応募者を平等に扱うことに役立つ可能性がある。
内部関係者による脅威から身を守るのに役立つリスク評価の種類は幾つかある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。
サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。
最新のサイバー攻撃に即座に対応するためには、SOCを従来の在り方から変革することが重要になる。しかし、何をすればよいのか分からないという組織も多い。そこで本資料では、現在のSOCが抱えている5つの課題とその解決策を紹介する。
高度化するサイバー脅威に効率的に対処するには、セキュリティの自動化が欠かせない。だが自動化の効果を高めるには、使用ツールの確認、ワークフローの分析などを行った上で、正しいステップを踏む必要がある。その進め方を解説する。
脆弱性対策は作業量や難易度を予測しづらく、限られたリソースで対応するのが難しい。さらに、単体の深刻度評価のみとなる一般的なセキュリティ監査ツールでは、包括的な分析は容易ではない。これらの課題を、AIはどう解決するのか。
数分でデータを人質に 進化するランサムウェアに有効な「第2世代EDR」とは (2025/3/4)
クラウドサービスの脆弱性をどう解消する? 安全な開発環境を構築するヒント (2025/3/4)
「複雑、高額、難しい」を変える中堅・中小向けSASEのメリットを解説 (2025/2/10)
「Box」に移行してもなくならない「お守り仕事」を根本から効率化するには? (2025/1/23)
これからのセキュリティ対策に必要な「防御側の優位性」、AIはどう実現する? (2025/1/22)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...