HCIソフトウェア市場をけん引するVMware。エッジコンピューティングをはじめHCI市場を取り巻く状況が変化する中、VMwareは今の立ち位置を維持できるのか。
「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)を採用する動きが大手企業を中心に進む。HCI製品が人気を集めた理由は、アジリティ(敏しょう性)と柔軟性の実現にある。HCI製品はサーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化機能を単一のハードウェアにまとめる。そのため導入が簡単で、かつ拡張も容易だ。
「パブリッククラウドが多くの注目を集めているのは稼働が容易だからだ。IT部門の責任者は、HCI製品のことを『オンプレミスシステムにクラウドのような体験をもたらす方法の一つ』だと考えている」。調査会社451 Researchでリサーチマネジャーを務めるクリスチャン・ペリー氏は、HCI製品についてこう語る。
HCI製品は、データセンターにアプライアンスとして投入可能な、すぐに使えるインフラとして認知が進んだ。「多くの組織ではテクノロジーのスキルとリソースが限られている。アプライアンスなら導入が簡単だ」とペリー氏は述べる。
VMwareはHCIソフトウェア開発の最前線に立っている。同社のHCIソフトウェア群はサーバ仮想化ソフトウェア「vSphere」とストレージ仮想化ソフトウェア「vSAN」から始まり、ネットワーク仮想化ソフトウェア「VMware NSX Data Center」やハイブリッドクラウド管理ソフトウェア群「vRealize Suite」を取り込む形で広がった。
「HCIソフトウェア市場の“リーダー”として、VMwareはNutanixと接戦を繰り広げている」。こう語るのは、調査会社Technology Business Researchでプラクティスマネジャー兼アナリストを務めるアラン・クランス氏だ。
VMwareは、他社のアプライアンスにも同様のHCIソフトウェアを提供している。VMwareは自社のHCIソフトウェアをさまざまなベンダーのアプライアンスにバンドルしている。こうしたベンダーにはDell EMCやCisco Systemsなどの認定ハードウェアベンダーが含まれる。VMwareはDell EMCとの密接な連携を通じて、Dell EMCの「VxRail」「VxRack」など、ハードウェアをベースに共同設計した複数のHCIアプライアンスも実現してきた。
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