パンデミックで大打撃の小売業者をAIが救う
コロナ不況から「AI」で脱却するには? AT&TやeBayの事例に学ぶ
新型コロナウイルス感染症拡大で経済的影響を受けた小売業者を、AI技術とアナリティクス技術はどのように支援したのか。「Ai4 2020」における専門家のパネルディスカッションを紹介する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により小売業者は破壊的な影響を受けた。感染拡大を防止するために、実店舗の営業を停止して全面的にオンライン販売にシフトした小売業者もある。小売業界は損失を被ったが、一部の小売業者はAI(人工知能)技術とアナリティクス技術のおかげで破産せず新しい現実に適応できた。
イベント事業者のAi4は2020年8月18~20日にオンラインで開催したAI技術に関するイベント「Ai4 2020」で、パネルディスカッションを実施。そこでは小売業者とITベンダーが、AI技術とアナリティクス技術への取り組み、そしてそれらがパンデミック(世界的大流行)期間中にどのように進化したかについて話し合った。
コロナ不況を乗り切るAI活用法
通信大手のAT&Tは、AI技術とアナリティクス技術をマーケティングおよび販売戦略に長年取り入れている。「私たちは機械学習モデルの構築を支援するために必要な高度な分析担当者を確保するために、多くの時間と労力を費やしてきた」と、同社でプリンシパル高度分析マネジャーを務めるフランシス・ボイキン氏は語る。
AT&TはAI技術を使用して、店内およびオンラインショッピング体験をパーソナライズしている。ボイキン氏によると、パーソナライズされたレコメンデーション(製品やサービスの推奨)は、AI技術が力を発揮した素晴らしい点の一つだ。加えて同社は人口統計データやネットワークパフォーマンスデータなどのデータを使用して、電話やその数がどの実店舗に向けられるかを予測している。そのため「各地域に適切な商品を置くことができる」と同氏は述べる。
COVID-19のパンデミック発生以降、AT&Tは実店舗の運営方法を変更した。顧客が一部の地域で店頭受取サービスを利用できるようにしたことがその一つだ。同社は店頭受取サービスを利用できる店舗と、一時的に閉鎖する店舗の決定を支援する機械学習モデルを作成した。
メディア、通信、顔認識ソフトウェアを販売する台湾のベンダーCyberLinkは最近、マスクを着用している人を識別できる顔認識製品「FaceMe Health」を開発した。小売業者はこれを既存の防犯カメラに接続し、人がマスクを着用しているかどうか、または鼻の下にマスクを着用するなど不適切な着用をしていないかどうかを判別できる。体温を非接触で測る赤外線カメラ「サーマルカメラ」に接続されている場合は、発熱のある人を判別することも可能だ。
CyberLinkのグローバルマーケティング担当シニアバイスプレジデント、リチャード・カリエール氏は「これはAI技術が確実に役立つ重要なポイントだ」と述べる。イベントでカリエール氏は、社内にはAI技術を開発するために約100人のエンジニアがいると述べ、同製品の有用性をアピールした。
EコマースとAI
AI技術とアナリティクス技術を長期間使用してきたもう一つの会社が、Eコマース大手のeBayだ。同社はAI技術で売り手(販売者)と買い手(購入者)の双方を支援してきたが、COVID-19によりこうした取り組みに変化が生じている。同社のAIおよび機械学習研究とプラットフォーム担当シニアディレクターのバラ・メドゥリ氏によると、同社の同名Eコマースサイトを活用する販売業者の一部は、COVID-19関連で健康製品について誤った主張をしていたり、実際の価値よりもはるかに高い価格で手指消毒剤を販売していたりする。同社は、こうした販売業者による禁止行為の特定と削除の取り組みを強化しているという。
メドゥリ氏によると、eBayは何年もの間ルールベースのアルゴリズムを使用して、虚偽の申し立てや価格の高騰を特定してきた。COVID-19が流行の兆しを見せたとき、同社のコンピュータビジョンチームはリスクチームと協力して、こうした行為の検出・分類モデルを改善し、既存のプロセスを強化した。過去数カ月の間に、同社はこれらの自動化技術と人の判断により、最新のポリシーに違反する3100万件以上のアイテムを削除したと同氏は語る。
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