悪名高いマルウェアの活動停止
「Emotet」のサーバがついに停止 各国警察はどう追い込んだのか?
世界中に感染が広がっていたマルウェア「Emotet」。各国の警察および司法機関が協力して、Emotetの司令塔に当たる攻撃用サーバを停止させた。その手法とは。
欧州刑事警察機構(Europol:European Union Agency for Law Enforcement Cooperation)と欧州司法機構(Eurojust:European Union Agency for Criminal Justice Cooperation)が協力して、悪名高いマルウェア「Emotet」の司令塔に当たるサーバ群の活動を停止に追い込んだ。カナダ、フランス、ドイツ、リトアニア、オランダ、ウクライナ、英国、米国の警察および司法機関(以下、捜査チーム)の協力の下、国際的捜査の一環として実施した。Europolは2021年1月27日(現地時間)発表のプレスリリースでこの結果を発表した。
捜査チームが停止(テイクダウン)させたのは、Emotetによる攻撃において攻撃者が利用するサーバ群だ。プレスリリースによると、このサーバ群は世界中にある数百台のサーバから成る。Emotetに感染したエンドポイントを管理し、新しいエンドポイントを感染させたり、Emotetが形成するbotネット(マルウェアに感染したエンドポイントが構成するネットワーク)をダウンさせようとする試みから防御したりする役割を担っていた。
Emotetのサーバを無力化するために、捜査チームは「ユニークな新しいアプローチ」を取らなければならなかったという。
「Emotetサーバ停止」の舞台裏
プレスリリースでEuropolは次のように述べる。
Emotetのサーバに重大なダメージを与えるために、捜査チームは連携して効果的な行動戦略を策定しました。それが今回の摘発に結び付いたと言えます。捜査チームはEmotetのサーバを掌握し、内部から停止させることに成功しました。捜査チームの管理下にあるサーバに、感染したエンドポイントを接続するようにしました。これは、サイバー犯罪のほう助を効果的に抑え込むユニークな新しいアプローチです
Europolの広報担当者によると、今回の摘発には民間のセキュリティ企業などのIT企業は関わっておらず、捜査チームのみで実行した。ウクライナ国家警察は「Emotetを拡散するために背後にあるサーバを適切に機能させ、円滑に稼働するようにした」疑いのある2人のウクライナ人を特定したとプレスリリースで述べた。ウクライナ当局は、これらの容疑者を公表していない。
ウクライナ当局のプレスリリースによると、犯人は財産を没収され、最大12年の懲役を科される。Emotetを使った攻撃を仕掛けた国際的攻撃者グループの他のメンバーも特定済みで、拘束に向けた手続きが進行中だという。ウクライナの国家警察サイバー警察部門の第一副責任者を務めるセリヒ・クロピバ氏は、合同摘発でウクライナ国家警察が果たした役割について「作戦の原動力となった」と話す。
Emotetを取り巻く動き
Emotetは2014年に初めて攻撃が観測された。当時のEmotetは、標的エンドポイントのユーザーの口座情報を盗み出すトロイの木馬(特定の条件下で活動するマルウェア)だった。その後数年間で進化し、botネットやフィッシングメールと組み合わせた攻撃に使われるようになった。Emotetの背後にいる攻撃者は、Emotetが侵入した標的エンドポイントにアクセスできるようにする権利を他の攻撃者に販売し、「サービス」として提供していた。
セキュリティベンダーCheck Point Software Technologiesが世界の脅威レポート「Global Threat Index」で取り上げるマルウェアランキングで、Emotetは頻繁に首位を占めていた。セキュリティベンダーTenable Network Securityも2020年の脅威をまとめた「2020 Threat Landscape Retrospective」において、「2020年に最も拡散した4つのマルウェア」の一つにEmotetを挙げている。
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