BlackBerry調査から見えた脅威動向
「テレワーカーを狙ったサイバー攻撃」が目立った2020年、今後注目すべき脅威は
2020年、新型コロナウイルスの流行によるテレワークの拡大が企業のセキュリティ対策に変化を促した。2021年に企業が注意すべき脅威トレンドとは。BlackBerryが分析する。
新たな脅威が絶えず発生するサイバーセキュリティ分野。2020年はどのようなセキュリティ事故があったのか。今後注目すべき脅威トレンドとは。BlackBerryの脅威解析チームアジア太平洋地域マネージャー、本城信輔氏に話を聞いた。
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テレワークとセキュリティ
「二重脅迫ランサムウェア」とは?
2020年のサイバーセキュリティを揺るがしたコロナ禍
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴うテレワークの普及は、企業のサイバーセキュリティに新たな脅威をもたらした。セキュリティ対策を万全に整えないままテレワークに移行した企業は攻撃者の標的となった。セキュリティベンダーのMalwarebytesが2020年に発表した調査レポート「Enduring from home COVID-19’s impact on business security」(COVID-19がビジネスに及ぼした影響)によると、パンデミック後に発生したセキュリティ侵害の19.8%はテレワーカー経由で起こっていた。「外出自粛でインターネットショッピングの需要が増えたことに伴い、宅配詐欺や架空料金請求詐欺も目立つようになった」と本城氏は言う。
2021年に警戒すべき「組織的サイバー攻撃」「二重脅迫ランサムウェア」とは
今後企業が注視すべき脅威が、巧妙化や複雑化が進む組織的なサイバー攻撃だ。企業や個人、国家への大規模なサイバー攻撃を実施する組織の一つに「BAHAMUT」がある。これまでBAHAMUTは、メンバー構成などの実態が特定されていなかった。BlackBerryは2020年10月に公開したレポートで、調査を基にBAHAMUTの実態に迫った。
本城氏は「BAHAMUTは使用ツールや手口が多様で、標的がイランの女性権利活動家やトルコ政府高官など、中東を中心に多岐にわたる。そのため雇い兵として雇われたハッカーで構成されているとみられる」と説明する。メンバーによって攻撃手段が異なれば「この攻撃はBAHAMUTの仕業だ」と明確に判断しにくい。そのことが実態の特定を難しくする一因になっていた。
BAHAMUTはインドのニュースメディア『Techsprouts』のWebサイトを乗っ取り、無関係の人の写真に差し替えていたとみられる。BlackBerryはこの事例について「BAHAMUTはマルウェアを仕込むつもりだったのではないか」と推測する。BAHAMUTのような大規模なサイバー攻撃を実施する組織は根絶されておらず、被害が広がりを見せている。2021年も引き続き警戒が必要だ。
「2021年は身代金要求型マルウェア(ランサムウェア)の手口が『二重脅迫』に移行しつつあることにも警戒が必要だ」と本城氏は説明する。二重脅迫とは「攻撃者がランサムウェアで被害企業のコンピュータ内のファイルを暗号化し、身代金として暗号資産(仮想通貨)を要求する」「被害企業が支払いに応じない場合、ダークWeb(特別なソフトウェアやWebブラウザからしかアクセスできないWebサイト)で暴露すると脅迫する」という2つの手法を組み合わせた手口だ。2020年には国内企業でも二重脅迫の被害事例が生じている。「暗号資産の価値が高騰している状況が、暗号資産を要求するランサムウェアの脅威を増大させている可能性がある」(本城氏)
「一度ランサムウェアに感染してしまうと対処が難しい」と本城氏は言う。ランサムウェアには、感染防止と被害の最小化という2方向から対策を講じておく必要がある。ほとんどのランサムウェアはVPN(仮想プライベートネットワーク)や、「Windows」の標準機能であるリモートデスクトッププロトコル(RDP)などの脆弱(ぜいじゃく)性を突いて侵入してくる。感染防止にはリモートサーバ管理ツールやウイルス対策製品が有効だ。ランサムウェアが社内システムに侵入すると、感染端末を踏み台として社内の別システムにも感染し、エンドポイントの被害が拡大する可能性がある。トラフィック(ネットワークを流れるデータ)をモニタリングしたり、ネットワークをセグメント化したりすることは、ランサムウェアの感染防止と被害の最小化に貢献する。
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