業績が高い企業ほどコロナ禍でもAIに投資しているが、コロナ禍でAIのパフォーマンスが低下してしまったという。低下した業種と理由には納得するしかなかった。
McKinseyが「業績が高い」と見なす企業の大半はコロナ禍の中でもAI投資を増やしているが、それ以外の企業でAI投資を増やしていたのは30%未満だった。McKinseyによると、投資を増やしていると回答した率が最も高いのは、自動車と組み立て、ヘルスケアサービス、調剤と医薬品を扱う企業だった。
企業はAIモデルの構築と再トレーニング、データ収集を適合させて優れたアジリティーを実現する必要がある。「現在よりもはるかに俊敏にデータを集め、短間隔でモデルを再トレーニングしなければならない」と話すのは、McKinseyの分析事業の一部を担うAIコンサルタント企業QuantumBlackのジャコモ・コルボ氏(共同設立者、チーフサイエンティスト)だ。
機械学習モデルの検証に実データを使うのが一般的な考え方だ。モデルが現実と一致しなくなったらモデルを最適化する。
機械学習モデルには多くの外部要因が影響する。McKinseyの調査では、多くのAIを導入している企業ほど、コロナ禍でAIモデルのパフォーマンスが低下したと報告する可能性が高かった。業績に比例してAIを多く導入する傾向が高く、AIをあまり利用していない企業よりもパフォーマンスが低下した。McKinseyによると、業績が高い企業の中でもマーケティングと販売、製品開発、サービス運用の企業のモデルが特に脆弱(ぜいじゃく)だった。
コルボ氏によると、消費者の需要パターンなど長期にわたる時系列データを利用するモデルがコロナ禍では機能しなくなることが多かったという。「現在起きていることに合わせて調整される自己適応型のモデルが増え、長期にわたる時系列データの利用が少なくなる方向に移っている」
モデルには、リアルタイムデータも時系列データも必要だ。多くの深層学習モデルには時系列データと短期間に高頻度で変化するデータを組み合わせる柔軟性があるとコルボ氏は言う。
コルボ氏は、ソフトウェア開発の厳密さを機械学習に持ち込み、機械学習でもコードをバージョン管理下に置いて変更の監査証跡を提供する必要があると話す。こうしたITガバナンスと監視がなければ機械学習モデルを管理できない。
MLOpsは機械学習システムの開発と機械学習モデルをソフトウェア開発の一形態として扱う。
「MLOpsには進化が必要だ。AIのCoE(センターオブエクセレンス)によって開発された機械学習のウオーターフォールモデルについて考えてみる。そこでは機械学習モデルの大幅なリファクタリングが必要になるが、迅速な繰り返しに適したパターンはない」(コルボ氏)
数年前のMLOpsは開発チームに高度なスキルを要求したが、MLOpsをサポートするツールは成熟している。データサイエンティスト向けにワークフローや依存関係を管理するツールは最近まで存在しなかった。Spotifyの「Luigi」(訳注:データパイプライン構築ツール)やNetflixの「Metaflow」(訳注:データサイエンスワークフローフレームワーク)などのツールは社内で開発する必要があった。
現在利用可能なMLOpsツールの多くはオープンソースだ。そのため、利用できるツールを把握するだけでなく、そうしたツールをどのように組み合わせるかを理解する人材が必要なのは明らかだ。
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