Dellはサンゴ礁の保全団体と提携し、深層学習モデルの開発に取り組む。開発した学習モデルはサンゴ礁保全活動の効率化のために活用する。具体的にどのような効果をもたらすのか。
Dell Technologiesは、オーストラリアのサンゴ礁保全団体Citizens of the Great Barrier Reefと共同で、機械学習の一種である深層学習(ディープラーニング)による学習モデル(以下、深層学習モデル)の開発に取り組む。Citizens of the Great Barrier Reefはサンゴ礁の画像を収集し、分析している。深層学習モデルは、その取り組みをどのように変えるのか。
Citizens of the Great Barrier Reef は、グレートバリアリーフ(オーストラリア北東岸に広がる世界最大のサンゴ礁地帯)の調査プロジェクト「The Great Reef Census」(GRC)を実施している。ダイバーやシュノーケラーが水中で撮影した画像を用いて、オーストラリア北東岸沿いに2400キロにわたって広がるサンゴ礁の状態を確認する。
2021年のGRCの調査では、グレートバリアリーフにおけるサンゴ礁240カ所の画像約1万3000枚を収集した。Citizens of the Great Barrier Reefの創設者兼CEOのアンディ・リドリー氏はGRCについて、「世界有数の民間プロジェクトだ」と話す。
プロジェクトには幾つかの課題がある。まず、画像の分析には一定の時間を要する。2021年にGCRが実施した調査では、市民ボランティアが1万3000枚の画像を分析するのに1枚当たり約7分、合計すると約1516時間を要した。他にも、市民ボランティアがサンゴ礁の状態を検証する精度は専門家と比較すると劣るため、正確性が課題として挙がっていた。
Dell Technologiesが開発する深層学習モデルは、画像内の全画素にラベルやカテゴリーを関連付けるアルゴリズム「セマンティックセグメンテーション」を使用する。このアルゴリズムを用いると、画像内にあるサンゴ礁の境界を10秒未満でラベリングすることが可能になる。ラベリングの精度は市民ボランティアが検証する。これにより、1万3000枚の画像を1枚当たり1分弱、合計すると約200時間で分析できるようになった。
Dell Technologiesは人手と深層学習モデルの両方を用いて、サンゴ礁に分類される、144種の有機体のカテゴリーを13種に絞った。そこからさらに深層学習モデルの改良を重ねることで、5種のカテゴリーにまで絞り込んだ。Dell Technologiesでアジア太平洋および日本のプリセールス担当バイスプレジデントを務めるダニー・エルマージ氏は、「画像に映る物体がサンゴ礁かどうかを確かめる、人間による検証作業が容易になる」と説明する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
生成AIを活用して業務や顧客体験の再構築を進める動きが活性化しているが、その多くが、PoCやラボ環境の段階にとどまっている。なぜなら、生成AIの可能性を最大限に引き出すための、インフラのパフォーマンスが不十分だからだ。
昨今のソフトウェア開発では、AIコーディングアシスタントの活用が主流になっている。しかし、最適なコーディングアシストツールは、開発者や企業によって異なるという。導入の際は、どのようなポイントに注意すればよいのか。
生成AIの活用にはデータベースが重要となるが、従来のデータベースは最新テクノロジーに対応できないなどの課題がある。本資料では、データベースをモダナイズし、生成AIを用いてビジネスイノベーションを生み出すための方法を探る。
ビジネスにおいて、検索体験およびその結果の質の向上が重要なテーマとなっている。顧客はもちろん、自社の従業員に対しても、実用的な答えをより迅速に、手間なく入手できる環境の整備が求められている。
登場以来ビジネスへの活用方法が模索されてきた生成AI。近年では業務組み込みにおける具体的な成功例が数多く報告されている。本資料では、5件の生成AI活用事例を交えて、業務に組み込む上での具体的なアプローチを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。