システム障害の予測と防止に役立つ「オブザーバビリティ」。New Relicの調査によると、企業におけるオブザーバビリティ実現は難航している。オブザーバビリティの阻害要因とは。
「オブザーバビリティ」(可観測性)とは、システムにおける問題発生を予測したり問題を解消したりするために稼働状況を可視化する能力や、可視化できる性質を指す。アプリケーションパフォーマンス管理(APM)ツールベンダーNew Relicの調査によると、企業のビジネス成功にオブザーバビリティは不可欠になりつつある一方で、オブザーバビリティの実現は簡単ではない。何がオブザーバビリティを阻むのか。
New Relicは、オブザーバビリティを「ITシステムに含まれる全ての要素を見渡す能力」と定義する。同社はオブザーバビリティの現状と成長の可能性に関するレポート「2022 Observability Forecast」を2022年9月に公開した。アジア太平洋、欧州、北米地域の14カ国の技術担当者1614人を対象に、2022年の3月から4月にかけて調査を実施した。調査対象者の65%は開発者やエンジニアといった実務担当者、35%はIT意思決定者(経営幹部と幹部以外の管理職)だ。
レポートでNew Relicは、エンジニアチームが以下を1つのツールで実現できる状態がオブザーバビリティの理想だと指摘する。
New Relicはレポートで、企業におけるオブザーバビリティ実現への道のりは長いことを示唆した。調査で「ITシステム全体のオブザーバビリティを実現している」と答えた回答者は全体の27%に過ぎなかった。
オブザーバビリティの実現を妨げる主な課題として、New Relicは以下を挙げる。
回答者全体の12.7%を占める英国およびアイルランドの回答者(約205人)のうち49%は、「1つのツールを使用してオブザーバビリティを実現するのが望ましい」と答えたのに対し、実際に1つのツールを使用していたのはわずか2%だった。同地域の回答者のうち3分の2は、5つ以上の監視ツールを使っていた。
自社のテレメトリデータについて、英国およびアイルランドの回答者の38%は「サイロ化している」と答え、29%は「テレメトリデータを視覚化するツールに一貫性がない」と回答した。69%は「業務に大きく影響する障害が1週間に1回以上発生している」と回答し、62%は障害を解決するために30分以上の時間をかけていると答えた。
システム稼働状況を調べる際、苦情が寄せられたりインシデントチケットが発行されたりする特定のタイミングで、主に手作業での確認とテストを実施していると答えた回答者は全体の33%に上った。
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