システム障害の予測と防止に役立つ「オブザーバビリティ」。具体的にどのようなメリットがあり、どのような分野で必要とされるのか。New Relicの調査を基に解説する。
システムの稼働状況を可視化し、問題発生の予測や解消に役立つのが「オブザーバビリティ」(可観測性)だ。アプリケーションパフォーマンス管理(APM)ツールベンダーNew Relicの調査は、オブザーバビリティがビジネス成功の鍵となる理由を取り上げた。
New Relicは、オブザーバビリティを「ITシステムにおける全ての要素を見渡す能力」と定義する。同社が2022年9月に公開したレポート「2022 Observability Forecast」は、オブザーバビリティの現状と成長の可能性を分析した。調査は2022年の3月から4月にかけて、アジア太平洋、欧州、北米地域の14カ国の技術担当者1614人を対象に実施した。調査対象者の65%は開発者やエンジニアといった実務担当者、35%はIT意思決定者(経営幹部と幹部以外の管理職)だ。
クラウドサービスの利用やマイクロサービスアーキテクチャ(小規模のサービス群でシステムを構成する設計)の採用が進み、ITシステムはますます複雑化している。これを受けて企業の技術者は、オブザーバビリティを強化してシステム全体の稼働状況を把握することで、顧客体験やセキュリティに支障を来す問題に先手を打とうとしている。
より良い顧客体験を実現するために、「ブロックチェーン」や「5G」(第5世代移動通信システム)、エッジ(データが発生する場所)でデータの処理や分析を実施する「エッジコンピューティング」といった技術を採用する企業もある。このような技術を使う場合も、オブザーバビリティが役立つ。具体的には、
といった成果につながることが考えられる。
New Relicの調査では、回答者全体の73%が「経営幹部がオブザーバビリティを支持している」と回答。回答者全体の12.7%を占める英国およびアイルランドの回答者(約205人)のうち71%は「核となるビジネス目標を達成する上で、オブザーバビリティが成功の鍵になると考える」と答えた。
英国およびアイルランドの回答者が、2025年までの3年間でオブザーバビリティが最も必要になると予測する分野で上位に入ったのは以下の通り。
New Relicで欧州、中東、アフリカ地域担当のCTO(最高技術責任者)を務めるグレゴリー・オイロン氏は、「デジタル時代においてはITシステムが企業の健全性を支えている。オブザーバビリティは企業が重要なビジネス目標を達成するための保険となる」と語る。アップタイム増加や顧客体験向上、効率的かつ信頼性の高い運用を実現するには、オブザーバビリティの導入が最優先事項になる。
後編は、企業におけるオブザーバビリティ実現を阻害する要因を見る。
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