“物理SIM”なんてもう要らない スマホ組み込みSIMカード「eSIM」の衝撃いよいよ来る「eSIM革命」【前編】

「SIMカードを挿す」という、スマートフォン購入直後の“儀式”は過去のものになる可能性がある。デバイス組み込みのSIMカード「eSIM」が、急速に市民権を得つつあるからだ。調査結果を基に、eSIMの実態を探る。

2022年12月03日 11時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 デバイス内に組み込んだSIMカード「eSIM」(組み込み型SIM)は、スマートフォン以外のデバイスにも搭載が進みつつある。通信事業者向けソフトウェアベンダーAmdocsの調査は、消費者がいつプラスチック製のSIMカードに別れを告げ、eSIMのさまざまなメリットを享受し始めてもおかしくない状況にあることを解き明かした。

“物理SIM”を過去にする「eSIM時代の始まり」

併せて読みたいお薦め記事

モバイルネットワークとスマートモバイル市場


 eSIM搭載デバイスを使うと、エンドユーザーはデバイスにSIMカードを挿入することなく、モバイルネットワーク事業者(MNO:Mobile Network Operator)の携帯電話プランを有効化できる。AppleやSamsung ElectronicsなどのデバイスベンダーがeSIM搭載可能デバイスの提供を進める中、Amdocsによると70カ国以上の200社を超えるMNOが、eSIMを提供・管理する体制を整えつつある。

 市場調査会社Dynataは、Amdocsの委託を受けて、2022年8月に米国、英国、オーストラリアの18歳以上の消費者2500人を対象に、オンライン調査を実施した。その調査結果をまとめたレポート「The eSIM Consumer Pulse 2022」によると、回答者の81%はスマートフォンのeSIM専用化(SIMカードの挿入を不可能にして、eSIMだけを使用できるようにすること)に対して積極的に支持、あるいは前向きな態度を示す。MNOが自社サービスとしてeSIMを提供することを望む回答者は58%で、そうではないと答えた15%の4倍近くとなった。

 Amdocsのテクノロジー&ヘッドオブストラテジーグループプレジデント、アンソニー・グーネティレケ氏は、通信業界全体がeSIMの採用を推し進めていることを肌で感じている。「消費者と通信事業者が、eSIMというエキサイティングな新しい技術のメリットと可能性への理解を深める中、eSIMに対する期待は今後も続く」というのがグーネティレケ氏の推測だ。


 後編は、eSIMへの期待と、それに対する有識者の展望を紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...