英国のテレワーカーは欧州諸国の中でも自宅の仕事スペースが狭く、技術的な問題でストレスを感じている人の割合が高い――このような傾向が調査で明らかになった。英国人が直面している「テレワークの苦労」とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)以降、「ワークライフバランスの改善」は、企業が意識するテーマになっている。テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方「ハイブリッドワーク」を選ぶ従業員のいる企業は、特にその傾向が強い。
クラウドPBX(PBX=構内交換機)ベンダーのNFONが2022年に発表した調査報告書「Well-being Report: Working from Home 2022」は、欧州企業におけるテレワークの課題に切り込んでいる。英国の労働者が、テレワーク時に特に苦労していることは何だろうか。
この調査報告書は、NFONと調査会社Statistaが共同で実施した調査の結果をまとめたものだ。テレワーク中のさまざまなストレスや業務の阻害要因に加え、テレワークのパラドックスについて調査している。調査には、英国、ドイツ、オーストリア、イタリア、スペイン、フランス、ポーランド、ポルトガルの8カ国でそれぞれ1000人以上が参加し、COVID-19のパンデミックが始まってから調査時点までのテレワーク期間について回答した。
調査結果を受けてNFONは、欧州の雇用主に対して「従業員が適切なビジネスコミュニケーション製品やサービスを利用できるようにすることで、従業員のストレス軽減に取り組まなければならない」と警鐘を鳴らす。
注目すべき調査結果として、調査対象の欧州8カ国(以下、8カ国)の中でも、英国のテレワーカーはかなり働きにくいことが挙げられる。仕事スペースの確保が大変で、技術的な問題など、さまざまな理由によるストレスがあるからだ。実際、英国のテレワーカーは、
の割合がそれぞれ高いことが、調査結果から明らかになった。
※注1 この調査では「処方箋なしで買える各種サプリメントを摂取すること」を指す。
「主にどの部屋でテレワークをしているか」という問いに対して、英国の回答者の18%が「寝室」を(8カ国全体では12.1%)、32.6%が「居間(リビングルーム)」を(8カ国全体では35.7%)挙げた。一方で「書斎」と答えた英国の回答者は19.6%にとどまった(8カ国平均は31.8%)。8カ国全体での平均的なテレワークスペースは20.32平方メートルなのに対し、英国では平均15.35平方メートルで、8カ国中最も狭い。
中編は、英国人がテレワークで苦労している項目を整理する。
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