Appleの“部屋を3DスキャンするAPI”「RoomPlan」のすごさとは? 経験者が語るAppleの「RoomPlan」でできること【前編】

間取り図作成アプリケーション「Planner 5D」のベンダーは、間取り図の作成に時間がかかるというエンドユーザーの不満を解消しようとした。そこで導入したのがAppleの「RoomPlan」だ。その効果とは。

2023年02月01日 10時00分 公開
[Esther AjaoTechTarget]

 Planner 5D社は、リトアニアのビリニュスに拠点を置くインテリアデザインソフトウェアベンダーだ。同社はエンドユーザーが部屋の間取りを2D(2次元)または3D(3次元)でデザインできるアプリケーション「Planner 5D」を手掛ける。Planner 5Dのエンドユーザーからは「設計したい部屋をトレースして描く作業に時間がかかる」といった声がしばしば上がっていた。処理のスピードアップ方法を探る同社に手を差し伸べたのがAppleだ。

部屋を丸ごと3Dスキャン Apple「RoomPlan」のすごさとは

 2022年6月、Appleは「RoomPlan」のソフトウェア開発キット(SDK)を発表した。RoomPlanは同社が開発した、部屋の構造をスキャンして3Dの間取り図に変換する機能のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)だ。スキャンと変換には、機械学習などのAI(人工知能)技術を活用する。

 Appleの提案をPlanner 5D社は受け入れ、RoomPlanのSDKをPlanner 5Dに組み込んだ。その結果、エンドユーザーは部屋の間取りの入力に、手描きだけではなくスキャン機能を利用できるようになった(画面)。Planner 5Dは、RoomPlanのSDKで部屋のスキャンを実現し、エンドユーザーが間取り図作成時間を短縮できるようにした。

図 図 Planner 5Dの画面例《クリックで拡大》(出典:Planner 5D公式ブログ)

 Planner 5D社の共同設立者であり、最高製品責任者のアレクセイ・シェレメーチエフ氏は、「RoomPlanのスキャン機能を使うことで、部屋のトレースが数分で完了する」と説明する。スキャン機能に対して、同社の最高マーケティング責任者であるマット・クリバシェイン氏も好評価を下す。

 RoomPlanのスキャン機能において、エンドユーザーはモバイルデバイスのカメラをスキャナーとして用い、部屋や壁といった物体の寸法、配置を取り込む。Planner 5Dのサーバはエンドユーザーが撮影した画像を受信して、撮影した空間の仮想的な形状を再構築する。3D化した間取りに対して、エンドユーザーは仮想空間内で家具を配置したり、家具の形を変更したりすることが可能だ。


 後編は、RoomPlanを導入したことで発生したPlanner 5Dユーザーのクレームと、その理由を紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news148.jpg

天候と位置情報を活用 ルグランとジオロジックが新たな広告サービスを共同開発
ルグランとジオロジックが新たな「天気連動型広告」を共同開発した。ルグランが気象デー...

news130.jpg

“AI美女”を広告に起用しない ユニリーバ「Dove」はなぜそう決めたのか
Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、「Real Beauty」の20周年を機に、生成AIツー...

news099.png

有料動画サービス 34歳以下では過半数が利用経験、4割は1日1回以上利用
「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2024」を基に、テレビ画面での動...