年齢確認にも使える「デジタルID」 “普通の身分証明書”との違いは?身分証明のデジタル化【後編】

バーやクラブは一般的に身分証明書を用いて年齢確認を実施する。身分証明書を紛失した場合のセキュリティリスクを回避するために役立つ「デジタルID」とは何か。

2023年03月09日 05時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

 バーやクラブは、運転免許証やパスポートといった物理的な身分証明書を用いて来店客の年齢と身元を確認する。ただし物理的な身分証明書は紛失の危険性があり、セキュリティ面の懸念が残る。

年齢確認に使える「デジタルID」とは?

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 ID技術ベンダーOne Account MobileのCEOベン・カール氏は「デジタルIDは、クラブの来店客と経営者の双方に大きなメリットをもたらす」と主張する。同社は、スマートフォンを用いて身分を証明できるデジタルID認証アプリケーション「1account」を提供する。

 One Account Mobileは2023年末までに、1accountの導入拠点が6万カ所以上まで広がり、エンドユーザーは200万人まで増えると見込む。バーやクラブだけでなく、本屋やカジノ、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、薬局、電子たばこ専門店など、年齢証明が必要な場所での導入を想定している。

 1accountを利用するに当たって、エンドユーザーは写真付き身分証明書をスキャンすることに加え、自撮り写真を1accountのサーバにアップロードする必要がある。1accountが身分証の正当性を確認し、アップロードされた写真を証明書の写真と比較して、本人であることが確認できたら、デジタルIDを発行する。

 エンドユーザーは、1accountで発行したデジタルIDを店舗で利用する際、店舗が用意したQRコードをスマートフォンで読み取る必要がある。店舗は、エンドユーザーのスマートフォンに表示される4桁のセキュリティコードと、スクリーンショットの使用防止対策としてタイムスタンプを確認し、年齢確認を実施する。

 スマートフォンは、パスワードなどの手段で保護されている場合が一般的だ。「1accountをインストールしたスマートフォンを紛失しても、第三者がデータにアクセスすることは困難であり、データ悪用のリスクは高くない」(カール氏)

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