プロセッサベンダーはノートPC市場に向けて、AIモデルが稼働可能なプロセッサを投入している。その理由を考えるために、まず「AIとは何なのか」を理解しておこう。
Advanced Micro Devices(AMD)やQualcomm、Intelなどのプロセッサベンダーは、特に極薄ノートPC市場に狙いを定めて、AI(人工知能)モデルを動かすための最新のプロセッサを提供している。こうした極薄ノートPCにAIモデルが必要なのはなぜか。Intelがあらゆる場所でAI技術を活用することを目標に掲げるプログラム「AI Everywhere」を推進する動機は何か――。こうした疑問に答えるには、まず「AIとは何なのか」を理解する必要がある。
AIはチャットbotなどのインテリジェントアシスタントだけを指す言葉ではない。AI技術は非常に幅広い分野をカバーする技術であり、中には長年にわたって使われ続けているものもある。
もう一つ重要なこととして、AIモデルの「ワークロード」(処理するタスクや作業)の大部分は推論であることを認識しておかなければならない。推論とは、トレーニングされたAIモデルを入力データに適用して予測や判断をすることだ。ベンダーがアプリケーションにAI技術を組み込むようになるにつれて、AIモデルが稼働可能なノートPCやスマートフォン、その他のモバイルデバイスも登場している。
推論は複雑な作業だが、それよりもAIモデルをトレーニングする作業の方がマシンに負荷が掛かる。トレーニングには何百、何千基もの高性能GPU(グラフィックス処理装置)が必要だ。
AIモデルによる推論は、例えば以下の分野に役立っている。
AIワークロードをクラウドサービスで実行することは可能だ。ただし遅延が生じるだけではなく、ネットワークとクラウドコンピューティングの両方の面でコストが発生する。機密情報を含む可能性がある大量のデータを送受信するというガバナンス面の懸念もある。
これらの問題を考えると、AIモデルの推論のために送信するデータを精査して容量を削減することは重要だ。こうした前処理の役目を担うのがCPUやGPUだ。
PCが搭載するCPUやGPUで推論を実行することも可能だが、演算にはそれなりの時間を要する上に、非常に熱くなりやすい。これは高性能GPUが大きなヒートシンク(冷却用パーツ)とファンを備えていることからも明らかだ。「NPU」(Neural Processing Unit)のようなAIモデル稼働用のハードウェアであれば、推論に掛かる時間と電力の両方の削減が期待できる。
次回は、プロセッサベンダーがノートPC市場を狙う理由を掘り下げる。
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