暗号資産(仮想通貨)詐欺を目的に、企業の「X」(旧Twitter)アカウントが乗っ取られる攻撃が活発化している。その原因と注意点に関して、セキュリティ専門家は“ある説”を立てている。
2024年1月から、短文投稿サイト「X」(旧Twitter)の企業アカウントが乗っ取られ、暗号資産(仮想通貨)詐欺に悪用される動きが広がっている。ITベンダーに自動車メーカー、政府機関と、著名な組織の被害報告が後を絶たない。企業は何に注意する必要があるのか。
2024年1月は、Google傘下のセキュリティベンダーMandiantや、ネットワーク機器ベンダーNETGEAR、自動車メーカーHyundai Motor Company(現代自動車)の中東アフリカ(MEA)支部などのアカウントが乗っ取られた。
セキュリティベンダーCERTIFIED KERNEL TECH(CertiKの名称で事業展開)も、Xアカウントを2024年1月に乗っ取られた組織の一つだ。同社によると、メディア企業Forbesの編集者のXアカウントから取材の申し込みがあり、スケジュール管理ツール「Calendly」に見せ掛けていた偽の予定設定リンクをクリックしたところ、アカウントが乗っ取られた。Forbes編集者のアカウントも悪用されていたと考えられる。CertiKのアカウントはその後、暗号資産詐欺に悪用されたという。
同時期、米証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)もXアカウントの乗っ取りに見舞われた。2024年1月9日(米国時間)、攻撃者はSECのアカウントを使い、SECがビットコインの現物上場投資信託(ETF)を承認したと投稿した。その数分後、SECのゲイリー・ゲンスラー委員長が同氏個人のXアカウントで、攻撃を受けたと述べ、「SECはビットコインのETFを承認していないと強調した。攻撃当時、SECのアカウントは多要素認証(MFA)が有効になっていなかったとみられる。
セキュリティベンダーSophos脅威インテリジェンス担当部長のクリストファー・バッド氏は、「Xでは2023年に約8割の従業員が解雇されたという情報があり、それがX運用の安定性や安全性に悪影響を与えている可能性がある」と指摘する。Xアカウントを利用している企業はXの現状を確認し、セキュリティリスクを再評価する必要があると同氏は指摘する。
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