「AIスキャンダル」で転落も? 生成AIで今後やってはいけないこと2024年の「生成AI」市場動向【後編】

生成AIが一世を風靡(ふうび)し、企業はビジネスでの生成AI活用を急いで進めている。それと同時に急務になるのがリスク対策だ。企業はどのようなポイントを押さえておくべきなのか。

2024年02月22日 05時00分 公開
[Mike LeoneTechTarget]

 2024年のAI(人工知能)市場はどうなるのか。AIベンダーは企業向けサービスの開発に注力し、半導体の調達競争は激しさを増す見込みだ。「汎用(はんよう)人工知能」(AGI:Artificial General Intelligence)の実用化に向けた競争も注目を集めるだろう。

 生成AIの活用が進む中で、そのリスクが現実味を帯びてきた。中には好ましくない理由でニュースの見出しを飾る企業も出てくるだろう。生成AIのリスクに備えて、企業が押さえておくべき動向を3つ紹介する。

リスクを避けるために知りたい「生成AI」市場動向

4.2024年、考えるべきは「責任あるAI」

 「責任あるAI」(公平性や透明性、安全性の確保を考慮したAI技術)の実現を目指す企業では、責任あるAIやAI倫理の専門部署を発足するなど、さまざまな取り組みを進めている。2024年は以下の取り組みが進むだろう。

  • AI技術を安全に使うためのルールの制定
  • AI技術に関するガバナンス体制の構築
  • セキュリティ強化
  • AI技術の信頼性を高めるためのベストプラクティスの作成

 AI技術に関する課題は山積みだ。生成AIについて夢を語る企業のほとんどが、責任あるAIの取り組みを後回しにしている。社内でガバナンス強化のための組織を立ち上げるべきか、それともパートナー企業との連携を通じて課題解消に取り組むべきかなど、悩む企業は少なくない。

5.求められる「AI関連規制」への迅速な対処

 2024年2月、欧州連合(EU)はAI技術の利用に関する包括的な法律「AI法」の合意に至った。米国でも2023年10月、バイデン政権が「AIの安全性に係る大統領令」を出すなど、AI規制に向けた取り組みは世界中で着実に進んでいる。2024年は、国内外でAIガバナンスを目的とする法律が制定されるだろう。

 問題は、これらの法規制に企業が迅速に対処できるかどうかだ。生産性向上や効率化というメリットと、コンプライアンスやセキュリティの懸念とのバランスを取るために、企業には迅速な適応力が求められる。

6.AIに関する不祥事の増加

 2023年末時点で既に生成AIにまつわる不祥事が出てきているが、それはほんの始まりに過ぎない。経済誌Fortuneが発表する企業の売上高ランキング「Fortune 500」に入る企業からも、生成AIのリスク管理体制がずさんなせいで足をすくわれる企業が出てくるだろう。企業は、社内における不注意から次のような問題を引き起こす可能性がある。

  • AI関連規則に違反する
  • 機密データを漏えいさせる
  • 著作権を侵害する
  • AIモデルが出力した虚偽情報を信じる

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

約80%の企業でAIが定着していない? その理由と成功させるためのポイントとは

生成AIを活用して業務や顧客体験の再構築を進める動きが活性化しているが、その多くが、PoCやラボ環境の段階にとどまっている。なぜなら、生成AIの可能性を最大限に引き出すための、インフラのパフォーマンスが不十分だからだ。

市場調査・トレンド グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

ソフトウェア開発ライフサイクルにおける、生成AI活用のポイントを考察する

昨今のソフトウェア開発では、AIコーディングアシスタントの活用が主流になっている。しかし、最適なコーディングアシストツールは、開発者や企業によって異なるという。導入の際は、どのようなポイントに注意すればよいのか。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

データベースをモダナイズし、生成AIを最大限に活用する方法とは?

生成AIの活用にはデータベースが重要となるが、従来のデータベースは最新テクノロジーに対応できないなどの課題がある。本資料では、データベースをモダナイズし、生成AIを用いてビジネスイノベーションを生み出すための方法を探る。

製品資料 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索体験と結果の質をどう高める? ユーザーに喜ばれる検索体験を実現する方法

ビジネスにおいて、検索体験およびその結果の質の向上が重要なテーマとなっている。顧客はもちろん、自社の従業員に対しても、実用的な答えをより迅速に、手間なく入手できる環境の整備が求められている。

事例 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

検索の効率化からデータ活用まで、生成AIの業務組み込み事例5選

登場以来ビジネスへの活用方法が模索されてきた生成AI。近年では業務組み込みにおける具体的な成功例が数多く報告されている。本資料では、5件の生成AI活用事例を交えて、業務に組み込む上での具体的なアプローチを解説する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

「AIスキャンダル」で転落も? 生成AIで今後やってはいけないこと:2024年の「生成AI」市場動向【後編】 - TechTargetジャパン エンタープライズAI 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。