「Java」の一見簡単そうな質問の“本当の答え”とは?ちょっとしたJavaの質問を深く考察する【前編】

「Java」エンジニアが求人面接でJavaや「Eclipse IDE」に関する質問をされたとき、それまでの経験や知識だけで乗り切ることが正しい選択ではない場合がある。ある“奥深い問題”を例に考えてみよう。

2024年06月21日 05時00分 公開
[Darcy DeCluteTechTarget]

 プログラミング言語・実行環境「Java」は、企業のシステム開発で根強い人気を保っている。Javaエンジニアとして活躍する上で欠かせないスキルに関する知識を問う、一見シンプルな質問が以下にある。これはシンプルに見えるが、意外と奥が深い。

Java向け統合開発環境(IDE)「Eclipse IDE」で図のコードスニペット(短いソースコードのまとまり)を表示した場合、赤い「×」印が何を表すのかを簡潔に説明してください。

図 図 Javaのコードスニペット

 この質問に対する“正しい答え”を考えてみよう。

トリッキーなJavaの質問に答えるには

 このようなトリッキーな質問を面接で出された場合、求職者は自分のソフトウェア開発スキルをアピールするため、もっともらしい答えを探すだろう。Javaの経験豊富なエンジニアは、以下のように回答しがちだ。

  1. 条件文があるため、×印が付いている行は実行されない。
  2. コードスニペットなので、「mainメソッド」がない。

 1は、「if」文の条件が真であれば「return "red"」が実行され、メソッドが終了する。条件が偽であれば「return "green"」が実行され、真の場合と同様にメソッドが終了する。メソッドとは、特定のタスクを実行するためにまとめられた再利用可能なソースコードのまとまりを指す。「return」文は、呼び出し元に値を返す命令だ。このif文は、条件が真であればifのブロックにある命令が、偽であればelseのブロックにある命令が実行されるようになっており、そのどちらにもreturn文がある。return文が実行されるとメソッドは終了するため、その後ろにあるソースコードは実行されないという考え方だ。

 2は、Javaプログラムを実行するためのmainメソッドが欠けていることを指摘している。mainメソッドはプログラムのエントリーポイント(開始点)となり、Javaプログラムを実行するJVM(Java仮想マシン)が最初に呼び出すメソッドだ。問題のコードスニペットにはmainメソッドがないので、プログラムのエントリーポイントがなく、×印はプログラムとして不備があることを示しているという見解だ。

 どちらも真面目な答えであり、意味が通らないわけではないが、どちらの答えも間違いだ。

この質問の「本当の答え」

 以下に簡潔な答えを示そう。

  1. 「赤い×印」はない。
  2. 「赤い丸の中にある白い×印」はあるが、赤い×印はない。
  3. では、白い×印の原因は何か。
  4. それは、到達不可能なソースコードを指している。

 条件文のtrueとfalseの両方でreturn文(呼び出し元に値を返す命令)が実行される場合、ifブロックの後に続くソースコードは実行されない。つまりその行は到達不可能だ。


 こうした質問は揚げ足を取るだけの存在のように思えるが、そうではない。次回は、このようなトリッキーな質問が職場で果たす役割を考察する。

TechTarget発 エンジニア虎の巻

米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news108.jpg

TikTok売却義務化に合憲判決 これからのシナリオを左右しそうなトランプ氏と「あの人」の意向
米連邦控訴裁判所は、TikTokが米政府による強制売却法案の無効を求めるTikTokの申し立て...

news006.jpg

「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏――2025年のSNS大予測(TikTok編)
米国での存続を巡る議論が続く一方で、アプリ内ショッピングやAI機能の拡大など、TikTok...

news202.jpg

ネットの口コミを参考に8割超が商品を購入 最も参考にした口コミの掲載先は?
ホットリンクは、口コミ投稿の経験や購買への影響を調査した結果を発表した。