中小企業がサーバ仮想化活用で直面する課題のうち、ハイパーバイザーやストレージなどの「モノ」に関する事項について明らかにした。本稿ではそれらの解決策を探る。
「中小企業にとってのサーバ仮想化とは何か?」をテーマとした本連載。第1回となる前回「【導入効果】台数削減だけではないサーバ仮想化のメリット」は、サーバ仮想化にはサーバ台数削減以外にもさまざまなメリットがあることを紹介した。第2回となる今回は中小企業がサーバ仮想化に取り組む際に直面しやすい課題のうち、ハイパーバイザーやストレージといった「モノ」に関連するものを取り挙げ、その解決方法について見ていくことにする。
以下のグラフは、年商5億円以上~50億円未満の中小企業に対して「サーバ仮想化に取り組む際の課題」を尋ねた結果である。
さまざまな課題が挙げられているが、大きく以下の3つに分類できる。
今回はこのうちの「1.サーバ仮想化に必要な『モノ』に関する課題」について考えてみる。この課題とその解決策を理解するためには、サーバ仮想化の技術的な側面をもう少し詳しく知っておく必要がある。図1をご覧いただきたい。これは中小企業がサーバ仮想化に取り組み、第1回で述べたようなさまざまなメリットを享受しようとする際に必要となるモノをまとめたものだ。
第1回でも述べたように、物理サーバと仮想サーバを仲介する役割を担うのがハイパーバイザーであり、サーバ仮想化の中核要素といえる。具体的には米VMwareの「VMware vSphere」、米Microsoftの「Hyper-V」、米Citrix Systemsの「XenServer」などが挙げられる。ハイパーバイザーの価格は徐々に下がってきており、Hyper-VについてはWindows Serverの一機能として提供されている。にも関わらず「ハイパーバイザーが高価である」という課題が2番目に多く挙げられているのはなぜだろうか?
第1回 では「サーバリソースの最適化」「システムの安定稼働」「システムの迅速な導入」「古いOSやアプリケーションの延命」などサーバ仮想化のさまざまなメリットを紹介した。これらはいずれも仮想サーバを物理サーバ間で移動させることによって実現される。となると、どの物理サーバでどの仮想サーバが稼働しており、どの仮想サーバを移動させるのかを管理する仕組みが必要となる。これが図1における管理サーバだ。
管理サーバにはサーバ仮想化環境を管理するためのツールをインストールし、そこから上記に述べた管理操作を行う。ツールの具体例としてはVMwareの「VMware vCenter Server」(関連記事:VMware vSphere 4の価値を最大化する管理ツール「vSphere Client/vCenter Server」)、Microsoftの「System Center Virtual Machine Manager(System Center2012の一機能)」(関連記事:Windowsの世界から飛躍した、System Center 2012の仮想化・クラウド管理)などが挙げられる。これらのツールは有償で提供されており、管理サーバの役割を担う物理サーバも別途必要となる。そのため、ハイパーバイザー関連のコストを合わせると中小企業にとっては少なからず負担となってくるわけだ。こうした課題に対し、サーバメーカーを中心に幾つかの解決策が提供されている。
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