監査の目線で操作性を向上、「BTrex」は連結決算をどう効率化する?連結決算ソリューション製品紹介【第7回】

老舗の連結パッケージ製品「連結大王」が「BTrex」に生まれ変わった。操作性やIFRS対応などを強化。会計士が中心となり、監査の目線で開発した連結パッケージは連結決算業務をどう効率化するのか。機能を紹介する。

2013年01月17日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

「連結大王」から操作性を強化

 「連結大王」という連結パッケージの名称になじみがある人も多いだろう。ビジネストラストの「BTrex連結会計」(ビーティーレックス)はこの老舗連結パッケージの後継で、2011年6月にリリースされた連結パッケージ製品だ。500社以上に導入された連結大王の利点を受け継ぎ、新時代の会計業務に合うように開発された。

 BTrexは計算エンジンなどコアの部分は連結大王を踏襲。その上で連結会計業務に関わる操作性を強化した。連結会計業務は担当できる経営スタッフがどの会社でも少なく、業務が属人化しているケースが多い。しかし、業務の継続性などを考えると担当者の属人化は望ましくない。BTrexはその脱属人化を支援する。

ビジネストラストの吉田顕仁氏 ビジネストラストの吉田顕仁氏

 例えば「My Application」機能では、700以上あるBTrexの処理メニューからその会社の連結決算業務で利用する処理メニューだけを抜き出して必要なメニューや帳票、入力パターンを定義することが可能。さらに業務フローに沿ってメニューを配置することができるため、連結決算業務に不慣れな経理スタッフでも処理を行える。

 また画面上に他のスタッフ間で情報共有するためのメモを貼り付ける機能もある。そのメモにはハイパーリンクを設定したり、ファイルを添付することもできる。ファイルサーバなどに散らばりがちな関連資料を1カ所にまとめることが可能だ。My Applicationを使い続けることで連結決算業務が次第に効率化するような仕組みになっている。「BTrexを使えば新人の経理部員でも戦力になる」とビジネストラストの取締役 ITプロダクト本部長 吉田顕仁氏は自信を見せる。

 BTrexの起動画面。業務フローに沿って操作手順を示すチャートが表示される BTrexの起動画面。業務フローに沿って操作手順を示すチャートが表示される《クリックで拡大》
 資本異動入力画面 資本異動入力画面《クリックで拡大》

会計士が開発、監査目線の機能を盛り込む

 単体決算情報の取り込みはWeb経由の直接入力や、CSV、Microsoft Excelファイルの一括取り込み、データベース連係などで可能。ファイルをドラッグ&ドロップでBTrexに簡単に取り込むことができる機能もある。加えてBTrexには取り込んだ決算情報の整合性をチェックする機能もある。整合性のチェックは作業の初期段階から最終的な精算表の作成まで段階的に対応する。問題がある場合はアラートが表示される。吉田氏は「数値の信頼性が担保されているということは、監査対応に要する時間を軽減することにつながる。決算の早期化を図る上で欠かすことのできない機能」と説明している。

 ビジネストラストは会計士や税理士など会計専門家が設立した企業で、会計コンサルティングサービスなども提供している。そのためBTrexの開発においても、会計士の視点でいかに会計監査の負荷を下げられるかに注目した。例えばBTrexでは監査を行う会計士向けのアカウントを発行することができ、会計士はリードオンリーモードでBTrexにアクセスして決算処理が適切に行われているかをチェックできる。疑問点や追加資料が必要な場合は、メモをBTrexに残して情報を共有する。従来の紙ベースによる監査に比べて効率を大きく向上させることが可能になる。BTrexが「経理と監査の情報共有ツールになっている」(吉田氏)形だ。

 整合性チェックのアラート管理画面。チェックする項目を設定できる 整合性チェックのアラート管理画面。チェックする項目を設定できる《クリックで拡大》

経営管理機能で経理部以外も利用可能に

 連結大王からBTrexになって強化されたもう1つの機能が経営管理の機能だ。かつての連結大王は連結決算処理に特化していて、予実管理や経営情報の分析、リポーティングなどは他のツールを組み合わせることで実現していた。しかしBTrexではその経営管理機能を内部に取り込んだ。一度作成した予算を適宜修正し、第2次、第3次の予算を立てることができる。月次予算など細かい粒度での予算管理も可能になった。操作性の高さもあり、「月次の連結決算であれば1人のスタッフが2、3時間で作成できる」(吉田氏)という。

 BTrexのリポート機能。会計情報をさまざまな視点で分析でき、グラフなどを使ったリポートを作成できる BTrexのリポート機能。会計情報をさまざまな視点で分析でき、グラフなどを使ったリポートを作成できる《クリックで拡大》
ビジネストラスの土屋隆一氏 ビジネストラスの土屋隆一氏

 また、経営層がBTrexにアクセスして簡単にリポートを確認できる機能や、経理担当者向けに役員会用などの報告書を出力する機能などを用意した。「経理部以外の経営企画や総務部など、経営管理者が利用するケースが増えてきた」(吉田氏)という。

 システムの柔軟性も特徴だ。ビジネストラストの会計コンサルティング部 部長の土屋隆一氏は「BTrexの特徴は柔軟な設計ができること。他社の連結会計パッケージでは、システムに合わせて既存の業務フローを変更する必要がある。しかし、BTrexはユーザーと共に最適な業務フローを検討した上で、それに合わせてシステムのパラメータを変更する。会計処理や数値の確認フロー、リポートまで全く別のソフトのように設定できる」と話す。

非上場企業の利用も増加

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