データベースセキュリティの管理責任はユーザーに
クラウドデータベース「Amazon RDS」のデータ保護に欠かせない4つの視点
クラウド利用で常に議論される「セキュリティ」に対する懸念。その責任所在の境界線は、サービスプロバイダーや利用サービスによって異なる。AWSの場合を見てみよう。
米Amazon Web Services(AWS)では、セキュリティに対する責任はユーザーと共有すべきものと考えている。従って管理者は「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)にあるデータの安全を確保するため、あらゆる対策を講じなければならない。
AWSは、RDSのセキュリティ対策機能を幾つか提供している。だが他の多くのAWSサービスと同様に、RDSもセキュリティ対策については「責任共有」モデルの対象となる。この姿勢に基づき、RDSやゲストOSなどAWSインフラストラクチャとAWS基盤サービスについてはAWSが管理する。一方で、データベースのセキュリティ対策についてはITチームが責任を負う。
Amazon RDS内のデータのセキュリティとプライバシー、完全性を保つため、管理者は以下の4分野を考慮しなければならない。
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1.アクセスコントロール
会社のデータベースや特定のデータには、許可されたユーザーしかアクセスできないことを保証する必要がある。「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)のセキュリティグループでは、クラウド管理者が許可した範囲のIPアドレスに接続を限定できる。AWSアカウントを通じてセキュリティグループとデータベースへのアクセスを許可するIPアドレスを指定すると、ネットワークレベルでデータを保護する。だが、許可されたIPアドレスの範囲内にあるコンピュータが不正アクセスされた場合はどうなるのか。
さらに、許可されたユーザーがうっかりデータを削除してしまうこともある。そのような場合、「AWS Identity and Access Management」(AWS IAM)では、カスタマイズされたアクセスポリシーでユーザーとグループを定義できる。これでRDSの運用とリソースに関して、よりきめ細かい管理が可能になる。IAMの多要素認証のサポートでは、これがさらに1歩前進してセキュアな認証が保証される。
IPアドレスの範囲を限定してネットワークのセキュリティ対策を講じ、許可されたユーザーしかRDSにアクセスできないようにした後は、ユーザーがアクセスできるテーブルとオブジェクト、また実行可能な作業の設定を調整する。RDSのアカウントは、まず単一のマスターユーザーとパスワードで作成する。一般的にはデータベース管理者がマスターユーザーだが、マスターユーザーを増やしてデータベース内でのアクセス権限を設定することもできる。データベース内からの接続にSSLの使用を強制することも可能だ。
2.ファイアウォール
データベースを不正な接続から隔離して、内部のアクティビティのモニタリング監視と監査を行うためにはファイアウォールが必要だ。だが、データベースやインストールされているハードウェアに直接アクセスすることはできない。
それがクラウドサービスの性質だ。RDSではサードパーティーのファイアウォールを別の仮想マシンにインストールしてRDSインスタンスに対する攻撃を監視し、阻止できる。不正アクセスを防ぐためのセキュリティグループの使用とIPレンジ制限に加え、AWSが提供する組織レベルのファイアウォール「Amazon Virtual Private Cloud」(Amazon VPC)では、データベースに使われているインフラを隔離する。VPCではクラウドがインターネット経由での直接アクセスを防止でき、結果的に企業が管理を強化できる。
データベースの運用状況とパフォーマンスのモニタリングについては、「Amazon CloudWatch」でCPUの使用や接続数、ディスクスペース使用、メモリ使用などに関連した幅広い測定値を提供している。こうしたパフォーマンス指標は、分散型サービス妨害(DDoS)などの不正な攻撃を検出する一助になる。管理者はピーク使用やパフォーマンス低下を通知する各種アラームも設定できる。
3.暗号化
各種のアクセスコントロールやファイアウォールは、データベースへの不正なリモートアクセスを防ぐ上で大いに役に立つ。だが自分のデータが実際には実在するハードウェアに保存されていることを忘れてはいけない。つまり、たとえ何者かがそのマシンに物理的にアクセスして、そこにあるデータを読んだとしても、プライバシーとセキュリティを守る必要がある。そこで役に立つのが「データの暗号化」だ。これはデータがデータベースとの間を行き来する間、そして保存されている間の両方で必要になる。
転送中のデータを暗号化するためには、Amazon RDSへのアクセスを全てセキュアHTTP(HTTPS)を経由させなければならない。幾つかのデータベースは、データベース内部からのセキュアでない接続を無効にする機能もサポートする。ただ、データの暗号化と暗号解除によって、データベース内の業務にある程度の遅延が生じることもある。
保存されているデータの暗号化では、Amazon RDSがOracle DatabaseとMicrosoft SQL Server向けに「Transparent Data Encryption」(TDE)を提供している。TDEでは管理者がデータと暗号鍵をAES 256ビットのマスター鍵で暗号化できる。保存されているデータを暗号化するための他の唯一の選択肢として、「OpenSSL」やJava向け「Bouncy Castle」などの標準的な暗号ライブラリを使って選択的にデータベースフィールドを暗号化する方法もある。
4.監査と報告
データベース内で起きていることを確実に把握し、データの保存に関する各種の法令を順守するために、管理者はデータベース内の全アクティビティを監視し、意味のあるリポートを生成しなければならない。データベース監査サービスの「AWS CloudTrail」では、APIコールと関連イベントの完全な履歴を提供する。
AWS CloudTrailには複数のログファイル関連機能があり、企業がほとんどの法規制に対応できるようにしている。この中にはIAMサービスを使ったログファイルへのアクセス管理や、アラートでログファイルの作成や設定ミス、システム変更イベントに関連したログファイル、ログファイルストレージを通知する機能などがある。CloudTrailでは25種類以上のフィールドについてログファイルを作成でき、ITチームがデータベースのアクティビティを常に把握していられるよう、ログファイルを分析して意味のあるリポートを生成できる。
本稿筆者のオフィール・ナッシュマーニ氏は、テクノロジーアドバイザー、ブロガー、講演者。同氏のビジネステクノロジー分野での幅広い経験は、好評のブログ(IamOnDemand.com)や、クラウドコンピューティング分野における最新技術スタートアップや開発者向けの信頼性の高いガイドに生かされている。現在は特に組織のアドバイザーとして、新しいIT市場の改善を先導する一方で、新しい確かな市場戦略の構築と遂行に携わる。
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