「クライアント端末管理」徹底比較 選び方、お薦め製品は?

ユーザー企業のIT担当者を対象に、IT製品/サービスの導入・購買に役立つ情報を提供する無料の会員制メディア「TechTargetジャパン」。このコンテンツでは、比較に関する比較の記事を紹介します。製品/サービス選定の参考にご覧ください(リンク先のページはPR記事を含みます)。

統合エンドポイント管理が実現する価値

 1980年代にクライアント/サーバコンピューティングが登場して以来、ITチームはユーザーのエンドポイント端末を管理する必要性に迫られてきた。初期の時代は、そのほぼ全てが固定された場所にあるデスクトップ型PCで、「MS-DOS」を搭載していた。1990年代に「Windows 3.x」とノートPCが登場した。さらに社外で簡単にインターネットにアクセスできるようになると管理作業は複雑性が増し、今やウェアラブル端末を含むスマートモバイル端末が到来した。(続きはページの末尾にあります)

クライアント端末管理関連の比較

Windows版クラウドPC「Windows 365」と「Microsoft 365」の根本的な違い

Microsoftの「Windows 365」は、Windowsの“クラウドPC”が利用できるクラウドサービスだ。同じくMicrosoftのクラウドサービスである「Microsoft 365」と、Windows 365は何が違うのか。

(2024/9/1)

Microsoft 365かWindows 365か? その前に「Windows 11」のあれが問題?

Microsoftの各種アプリケーションやWindows 11を利用するための選択肢は多様だ。ニーズに適したプランやライセンスを購入するに当たっては、忘れてはいけない幾つかのポイントを押さえるようにしよう。

(2024/1/11)

「Microsoft 365」「Office 365」は高い、安い? 月額をシナリオ別に計算

「Microsoft 365」や「Office 365」のどのプランでどれくらいの費用がかかるのか。これは実際に算出してみないと理解しにくい。組織規模別のシナリオを前提にして、6つのプランを例に選択肢とコストを解説する。

(2024/1/7)

「Microsoft 365」と「Office 365」は同じじゃない? 実はこんな違いがあった

Microsoftは、同社のオフィスアプリケーションやOSをサブスクリプション形式で利用するための幾つかの選択肢を用意している。「Office 365」と「Microsoft 365」の違いを含めて、その選択肢を紹介する。

(2023/12/31)

「Microsoft 365」が後継でも完全にはなくならない「Office 365」の“謎”

Microsoftがサブスクリプション形式で提供する各種のサービスには「365」が名称に付いているものが幾つかあり、混同しがちだ。「Office 365」と「Microsoft 365」は同じなのか、違うのか。

(2023/12/24)

「Office 365」「Microsoft 365」「Windows 365」の混同しがちな違いとは?

Windowsやオフィスアプリケーションなど、Microsoftの製品やサービスを利用する選択肢は多様になっている。「Microsoft 365」など「365」が名称に付く幾つかのサービスにはどのような違いがあるのか。

(2023/12/17)

「Windows」を現状維持か「非Windows」に転換か 迫る2つの選択

さまざまな企業において業務に欠かせない存在になっているWindowsアプリケーション。Webブラウザなど非「Windowsアプリケーション」の業務利用が進む中で、企業に求められる選択とは。

(2023/9/26)

Windows 11 EnterpriseとWindows 11 Proは何が違う? ライセンス視点で比較

「Windows 11」のライセンスを適切に選ぶ上で欠かせないのが、Windows 11のエディションを理解することだ。主要な企業向けエディションである「Windows 11 Enterprise」「Windows 11 Pro」の特徴を整理しよう。

(2023/7/23)

Citrixに注目すべき理由

Microsoftによるロックインを回避するために苦心する筆者は、Citrixに関心を寄せているという。Windows NT 3.51時代(WinFrame)から現在に至るCitrixの存在に着目する理由とは何か。

(2022/7/27)

企業の新定番OSは「Windows 11 Enterprise」「Windows 11 Pro」のどっち?

Microsoftが「Windows 11」として提供する法人向けエディションには、「Windows 11 Enterprise」と「Windows 11 Pro」がある。これらは提供する機能が異なる。企業はどのように選択すればいいのか。

(2022/7/15)

「Windows 11」と「Windows 10」は“ほぼ同じでも何か違う”の正体

「Windows」の新バージョンを使う際は、どのようなメリットがあるのかが重要になる。「Windows 11」になることで変わること、変わらないことをしっかり見極めよう。

(2022/6/18)

Mac、Android使いこそ「Windows 11」を使うべき理由

Microsoftの「Windows 11」は、「Mac」や「Android」スマートフォンのユーザーにとってうれしい機能を備えている。Windows 11の新機能と、「Windows 10」との違いを説明する。

(2022/2/17)

MacとLinuxが「Windows 11」の代替案になり得ない理由

Windowsがバージョンアップするたびに繰り返されてきた、「他OSへの移行」の検討。Windows 11に「ノー」を突き付けたとして、では何を使うか。MacやデスクトップLinuxではダメだ。

(2021/12/17)

PC総入れ替えか? VDIでも発生するWindows 11のTPMサポート問題

Lansweeperの調査の結果、企業が使っている物理PCの約半分はWindows 11にアップグレードできないことが分かった。端末の仕様に左右されないはずのVDIでもWindows 11移行には課題が生じるという。

(2021/11/29)

「PowerShell」が気になっても「コマンドプロンプト」を使いたくなる魅力とは?

Windowsは「コマンドプロンプト」と「PowerShell」の2つのコマンドラインツールを持つ。それぞれどのような場面で使うと便利なのか。例を交えて紹介する。

(2021/11/19)

「Microsoft 365移行ツール」選定のこつ 「移せたのはメールだけ」を避ける

「Microsoft 365」の機能はメールにとどまらず、多岐にわたる。Microsoft 365移行ツールを選定する際は、この事実を正しく認識することが不可欠だ。それはなぜなのか。何に注意すればよいのか。

(2021/10/28)

Mac管理ツール「Jamf」と「Fleetsmith」の料金の違いは? どちらを選ぶべきか

Apple製デバイスの管理においては、管理ツールがどのような他ツールと連携可能なのか、利用料金は幾らなのか、といった観点も重要だ。こうした観点で「Jamf」と「Fleetsmith」を比較してみよう。

(2021/8/11)

「Jamf」「Fleetsmith」の長所と短所を比較 Mac管理がしやすいのはどっち?

Apple製デバイスの管理における要件は企業によって異なる。管理ツール「Jamf」と「Fleetsmith」をどう比較すればいいのか。検討すべきポイントを紹介する。

(2021/8/4)

「VMware Horizon」「Workspace ONE UEM」とは 「VCP」などのVMware認定資格は

VMwareはデスクトップ仮想化をはじめとするデジタルワークスペース製品群を提供している。「VMware Horizon」「Workspace ONE UEM」などデジタルワークスペースの中核製品と、同社が提供する認定資格を説明する。

(2021/4/14)

「MDM」から「EMM」、そして「UEM」へ 歴史から学ぶデバイス管理の進化

クラウドサービスやモバイルデバイスの普及、セキュリティリスクの増大などが、デバイス管理システムを進化させてきた。「MDM」製品から「UEM」製品への進化の歴史を振り返る。

(2020/1/23)

UEMとは

 センサーや探知機、カメラといったモノのインターネット(IoT)アプリケーションの普及に伴い、非ユーザー端末も爆発的に増えている。もちろん、ファイルサーバやプリンタといった従来の機器も消滅したわけではない。エンドポイント管理に関係した量の問題は、物理的な場所が問題にならない多くの機器を仮想化できる能力によって、さらに悪化している。

 ユーザーにとって多様性とは、同じアプリケーションとデータにあらゆる端末を使ってどこからでもアクセスできる柔軟性を意味する。だがIT部門にとっての日常は複雑化が進む。機器が増え、OSは多様化し、セキュリティ脅威は増し、それに加えて複数の管理ツールが存在する。IT部門は全てのエンドポイントを管理できる単一の管理画面を必要としていた。では、いわゆる統合型エンドポイント管理(UEM)を通じたその実現において、IT業界はどこまで進んだのか。

UEM以前:過剰な頭文字

 業界が長年使ってきた用語は混乱に満ちていた。最初のツールは主にPC管理の目的で開発された。当時をさかのぼって、これは一部ではクライアント管理ツール(CMT)と呼ばれている。CMTは会社が管理するWindowsデスクトップのゴールデンイメージを生成し、確実にパッチを当てて脆弱(ぜいじゃく)性のない状態を保ち、ハードウェアとソフトウェアのインベントリを管理した。これと並行して、ITセキュリティに関する懸念の増大が、新しい種類のエンドポイントセキュリティツールにつながった。

 携帯電話を管理する必要性は、モバイル端末管理(MDM)のための新しい専用ツールを生み出した。初期のころは、ほとんどが通信費や契約、通話時間、SIM、支払い、そして端末そのものの管理に対応していた。携帯電話がスマートフォンに進化すると、ユーザーの私物端末を使って会社のリソースにアクセスするBYOD(私物端末の業務利用)や、ユーザーがアプリストアから直接ダウンロードできるソフトウェアの氾濫など、新しい課題が浮上した。

 さらに混乱を招く頭文字として、モバイルアプリケーション管理(MAM)、モバイル経費管理(MEM)、モバイル脅威管理(MTM)、モバイルID管理(MIM)、モバイルコンテンツ管理(MCM)などがある。一時期は、そうした全ての総称としてエンタープライズモバイル管理(EMM)という用語に落ち着いた。今ではCMTとMDM/EMMをまとめてUEMと総称される。これが最後の頭文字になることを望みたい。

 UEMは、単一の管理画面を提供し、管理作業の多くを自動化し、相対的な監視を通じてセキュリティを強化することによって、エンドポイントの管理コスト削減と複雑性の低減を図る。UEMツールの機能はサプライヤーによってさまざまだが、何らかの基本的な機能はあるはずだ。

 そうした機能には、発見とインベントリ、資産管理、リモートプロビジョニングと設定、ライフサイクル管理が含まれ、必要な承認ワークフローとユーザーセルフサービスを伴う。

 ソフトウェアライセンスとその配布は管理を必要とする。ユーザー端末上では、電子メール、カレンダー、連絡先管理、文書エディタ、ソーシャルメディアなどの業務用アプリがこれに含まれ、そうしたアプリは適切かつセキュアに使われなければならない。その全ては、場合によっては数万台にも上る大量の機器を横断して達成できる必要がある。

 端末の種類は、サーバ、デスクトップPC、ノートPC、スマートフォン、タブレット、プリンタ、そしてIoTに分類されるさらに難解な機器など、組織によって多岐にわたる。OSの数は著しく増えた。「Android」と「iOS」はスマートフォンを独占し、「Linux」「Chrome OS」「macOS」はそれより大型の端末に使われる。IoT用途としては「QNX」「Tizen」「Android Things」「Windows 10 IoT」などがある。

 BYOD対応の課題としては、会社のデータを守る必要と、仕事用と私用のアプリを同じ端末上で確実に分離する必要が挙げられる。これはコンテナを使って業務用と私用を分離し、端末の間を行き来するビジネスデータの流れを制御し、ユーザーの行動に関するインサイトを引き出すためのデータ分析を提供することによって実現する。データの暗号化は必要に応じて徹底させなければならない。

 セキュリティ対策では、会社のシステムを未知のエンドポイントから守る必要がある。さらに先を行って、全てのエンドポイントを敵対的なものとして扱う場合もある。ホームネットワークに再接続する既知のエンドポイントが、別の所に接続した際にハッキングされた可能性もあるためだ。

 他のセキュリティ機能には、基本的なマルウェア対策、セキュアなWeb閲覧とURLフィルタリング、遠隔操作によるロックや端末のデータ消去、GPS追跡、位置情報ベースのポリシーコントロール、端末がジェイルブレークされたときの検出、ユーザー認証などのIDおよびアクセス管理が含まれる必要がある。

市場の統合

 UEM分野に参入しているサプライヤーのほとんどは、以前から存在しているCMT、エンドポイントセキュリティ、あるいはMDM/EMMのいずれかの領域の出身だ。主な製品はいずれも最初からUEMとして設計されたわけではない。受け継がれた強みが明らかな製品もあれば、買収や新規開発によって複数分野で同等な強みを持つ製品もある。

 ほとんどのサプライヤーはUEMをオンプレミスソフトウェアかクラウドベース、あるいはその2つのハイブリッドとして提供している。その方法には違いがあり、どのデリバリーの仕組みに強みを持つかはそれぞれのサプライヤーのバックグラウンドによって異なる。方向性はオンプレミスからクラウドへと向かっているが、金融サービスのような特定の業界は、依然として社内にとどめることを好む。

 CMTをバックグラウンドとするサプライヤーにはMicrosoftが含まれる。同社は今「System Center Configuration Manager」「Microsoft Enterprise Mobility + Security」を通じて異種混合のUEMを提供しており、これには「Intune」が含まれる。Citrix SystemsにはUEMのための「Endpoint Management」があり、2017年にはIntuneの顧客向けにMicrosoftとの提携を発表した。

中堅中小企業のためのUEM

 Kaseyaが発表した「RMM(Remote Monitoring and Management) 2.0」は、同社のエンドポイント管理ソフトウェア「VSA」と、高度なネットワークモニター管理ソフトウェア「Traverse」を統合している。Kaseyaは以前からエンタープライズと管理型サービスプロバイダー支援に強みがあり、後者は中堅・中小企業向けにUEMを提供している。

 Quest Software(Dellの一部門から独立)にはUEM事業部門があり、「KACE」シリーズは「KACE Cloud MDM」と「KACE Systems Management Appliance」の統合を通じたUEMを提供している。ManageEngineは2005年に「Desktop Central」を、2012年には「Mobile Device Management」を立ち上げた。2015年からは単一のUEMコンソールを提供しているという。

 IBMは従来、「MaaS360 UEM」に使われているWatson技術の認識能力を売りにしている。Ivantiは同社の「LANDesk」および「HEAT」をベースとしたUEMを開発してきた。

 MDM/EMM側を見ると、10年ほど前に登場して現在はUEMを提供している一群の中で、MobileIronは今も独立して経営を続けている筆頭級のプロバイダーだ。VMwareの「Workspace ONE UEM」は2014年に買収したAirWatchをベースとしている。Good Technologyは、AppleとAndroidベースのスマートフォンの台頭によって苦戦するBlackBerryによって買収された。

 カナダのSOTIは新しい「SOTI ONE」プラットフォームでUEMに名乗りを上げた。他のサプライヤーとして、Silverback買収をベースとするMatrix42 UEM、北京を拠点とするNationSkyの「NQSky」、ストックホルムを拠点とするSnow Softwareなどがある。

 セキュリティ側では、Kaspersky Labの「Endpoint Security for Business」「Endpoint Security Cloud for SMB」が、「VMware AirWatch」や「Sophos Mobile」とともに市場開拓活動を展開している。

UEMの将来

 現在は恐らくエンドポイント管理を検討する好機かもしれない。Microsoftは2015年1月13日でWindows 7のメインストリームサポートを打ち切り、2020年1月14日には延長サポートも終了する。

 これは、まだWindows 10に移行していない多くの組織にとって、ユーザーエンドポイントのメジャーアップデートを意味する。古いバージョンを使い続けることに伴うリスクは、2017年に猛威を振るったマルウェア「WannaCry」で浮き彫りになった。

 だがこのタイミングで更新すべきはWindowsそのものだけではなさそうだ。全般的なユーザーエンドポイントの利用状況、さらには全てのエンドポイントがどう管理されているのかを見直すチャンスでもある。

 UEMシステムを導入する企業は、ユーザーへの選択肢の提供にとどまらず、全てのエンドポイントのセキュリティ問題への対応や、増大し続けるITの領域のコスト管理態勢において優位に立つだろう。

UEMに求められる20の機能

管理全般

  • 単一の管理画面
  • 資産管理
  • ソフトウェアライセンス契約
  • ソフトウェアの更新管理
  • ゴールデンイメージの配信
  • リモートプロビジョニング
  • 承認ワークフロー
  • ユーザーセルフサービス
  • 大量デバイス管理
  • 端末発見

セキュリティ

  • コンテナ化
  • 脆弱性管理
  • 暗号化・データ保護
  • マルウェア対策
  • Web閲覧のセキュリティ対策
  • リモートからのロック/消去

モバイル専用

  • BYODのサポート
  • 通信費管理
  • 通話契約管理
  • アプリ管理