「Microsoft 365」が後継でも完全にはなくならない「Office 365」の“謎”Microsoftの「365」系サービス【第2回】

Microsoftがサブスクリプション形式で提供する各種のサービスには「365」が名称に付いているものが幾つかあり、混同しがちだ。「Office 365」と「Microsoft 365」は同じなのか、違うのか。

2023年12月24日 10時30分 公開
[Gary OlsenTechTarget]

 Microsoftは「365」が名称に付く幾つかのサービスを、サブスクリプション形式で提供している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がり出した2020年4月に提供開始になった「Microsoft 365」はその一つだ。当時は詳細が分かりにくく、Microsoftがオフィススイートとして提供してきた「Office 365」の完全代替サービスだ、あるいはOffice 365とは別物のサービスだといった認識が広がり、混乱が生じた。

「Office 365」と「Microsoft 365」が併存する謎

 Microsoftは、Microsoft 365とOffice 365のプランについてまとめた公式のページを用意している。2023年12月現在、英語版では「Microsoft 365 and Office 365 plan options」というタイトルが付いているページだ。

 Microsoftは、Microsoft 365とOffice 365についてユーザー数や組織の属性に応じたプランを用意している。その立て付けの中で双方のプランを並べてみると、以下の通りだ。この一覧は、2023年12月時点の情報を基にしている。

  • ユーザー数300人以下の「ビジネス」系のプラン
    • Microsoft 365
      • Microsoft 365 Business Basic(旧称:Office 365 Business Essentials)
      • Microsoft 365 Business Standard(旧称:Office 365 Business Premium)
      • Microsoft 365 Business Premium(旧称:Microsoft 365 Business)
      • Microsoft 365 Apps for business(旧称:Office 365 Business)
  • ユーザー数が無制限の「エンタープライズ」系のプラン
    • Office 365
      • Office 365 E1
      • Office 365 E3
      • Office 365 E5
      • Office 365 F3
    • Microsoft 365
      • Microsoft 365 F1
      • Microsoft 365 F3(Office 365 F3を含む)
      • Microsoft 365 E3(Office 365 E3を含む)
      • Microsoft 365 E5(Office 365 E5を含む)
      • Microsoft 365 Apps for enterprise(旧称:Office 365 ProPlus)

 ビジネスのプランでは、Office 365がMicrosoft 365へと引き継がれているが、エンタープライズではOffice 365のプランが残っている。エンタープライズのMicrosoft 365はOffice 365の内容を包含しているため、Microsoft 365ではOffice 365で利用できる全アプリケーションに加えて、Microsoft 365だけで利用できるアプリケーションや機能が含まれるということになる。

 年間サブスクリプションの価格で比べてみると、Office 365 E3はユーザー当たり月額2880円(税別)、Microsoft 365 E3はユーザー当たり月額4500円(税別)だ。エンタープライズ以外にも、教育機関向けのプランでもOffice 365が残っている。

 つまりOffice 365は基本的にはMicrosoft 365に引き継がれた形だが、エンタープライズ系と教育機関向けのプランではMicrosoft 365とOffice 365のプランが併存している。その場合、Microsoft 365がOffice 365のアプリケーションを完全に包含する内容となっている。


 次回は別の視点で、ビジネスとエンタープライズのプランの違いを見ていこう。

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