2006年03月13日 08時32分 公開
特集/連載

SOAからROIを得る方法 PART1Column

今日では、どんなITプロジェクトでも経営陣に承認させるには、ROIを明示する必要があり、SOA関連プロジェクトも例外ではない。ここでは、SOAのROIがどの分野で実現されるのかについて述べる。PART2はこちら。

[TechTarget]

 どのようなITプロジェクトでも経営陣から自動的にゴーサインがもらえるような時代は、もはや遠い過去のことである。今日では、ITプロジェクトに対して投資に見合う効果を上げることが求められている。どんなプロジェクトであれ、そのROI(投資対効果)がどこで実現されるのか、そしてその技術からどれだけのROIを期待できるのかを明確に示す必要があるのだ。

 これは、Webサービスおよびサービス指向アーキテクチャ(SOA)関連のプロジェクトについても当てはまる。しかし、ROIがどこで実現されるのか、どれだけのROIを期待できるのか、そしてプロジェクト完了後にROIをどのように測定すればよいのかといったことが分かりにくい場合もある。ここでは、ROIがどの分野で実現されるのかについて述べる。次回のPART2では、投資からどのような利益を期待できるのか、そしてプロジェクト完了後にROIを測定する方法について詳しく説明する。

 どのようなITプロジェクトでも経営陣から自動的にゴーサインがもらえるような時代は、もはや遠い過去のことである。今日では、ITプロジェクトに対して投資に見合う効果を上げることが求められている。どんなプロジェクトであれ、そのROI(投資対効果)がどこで実現されるのか、そしてその技術からどれだけのROIを期待できるのかを明確に示す必要があるのだ。

 これは、Webサービスおよびサービス指向アーキテクチャ(SOA)関連のプロジェクトについても当てはまる。しかし、ROIがどこで実現されるのか、どれだけのROIを期待できるのか、そしてプロジェクト完了後にROIをどのように測定すればよいのかといったことが分かりにくい場合もある。ここでは、ROIがどの分野で実現されるのかについて述べる。次回のPART2では、投資からどのような利益を期待できるのか、そしてプロジェクト完了後にROIを測定する方法について詳しく説明する。

大きなROIを期待できるのはどんな企業か

 ROIがどの分野で実現されるのかを検討する際に最初に考慮すべき要素の1つが、あなたの会社の業種である。期待できるROIの大きさは業種によって異なる。

 IBMグローバルサービシズでWebサービスとSOAを担当するマイケル・リーボー副社長によると、銀行/保険/通信/小売業界および政府部門は、WebサービスやSOAの導入によって大きなROIを得られる可能性が高いという。その理由として、これらの業界はいずれも複雑な分散環境を利用しており、水平的な統合機能を必要としているが、WebサービスとSOAはこれら両方のニーズに対応することを目的とした技術であることを挙げている。このため、上記と同じような業種の企業も、大きなROIを期待することができるのである。

 リーボー氏は、資産の再利用、そして場合によっては業務部門の人件費の削減という形でコスト節減を実現できる可能性もあると指摘する。しかしIT部門の人件費の削減を期待することはできない。さらに同氏によると、WebサービスやSOAの導入が収益の増加につながる可能性は十分にあるが、最初からそれを期待すべきではないという。それは、あまりにも不確かな前提であるからだ。

実現を期待できる4つのタイプのROI

 米調査会社ザップシンクの上席アナリスト、ロン・シュメルツァー氏は、「企業では新技術の導入に対するROIを算定すべきだとする考え方が強まっている」と話す。ザップシンクによると、企業がWebサービスからROIを得られる主要な分野は4つあるという。

 最もシンプルかつ明解なのは、連携コストの削減という形で得られる短期的・戦術的なROIである。「配備した翌日からコストの削減を期待できる。連携にかかわるコストを直ちに削減できるからだ」とシュメルツァー氏は語る。これは、ミドルウェアが不要になる、変換のためのマッピングの時間が減少するといったメリットによるものだ。

 「このROIは容易に数値化することができる。リプレースされたビジネスプロセスとシステムを特定することができるからだ」(同氏)

 シュメルツァー氏によると、2番目のタイプのROIは、アプリケーションの再利用という形で得られるもので、このメリットは短・中期的に実現されるという。「このROIは、連携コストの削減に比べると実現するのがやや難しい」と同氏は語る。それを実現するには、各種のアプリケーション間で共通性がある部分を特定し、それらに対応したサービスを構築する必要がある。そうすれば、サービスを一度デザインするだけで済むので、デザイン、プログラミング、開発にかかる総時間を減らすことができる。

 3番目のROIはビジネスの俊敏性に関する分野で、このメリットは中・長期的に実現されるという。このROIは数値化するのが難しい。企業およびシステムが、自発的かつ迅速にビジネス判断を下すことを可能にするという性質のものであるからだ。すなわち、ROIは、タイムトゥーマーケットの短縮、ならびにビジネスパートナーとダイレクトにリンクする能力という形で実現されるのである。これによって期待できるメリットが収益の増加であるが、IBMのリーボー氏は、それを期待すべきではないと警告している。シュメルツァー氏も、このROIを前提にするのは無理があるとしている。さらに同氏は、技術そのものだけでは、ROIの実現を保証するには不十分だと指摘する。なぜなら、意思決定者が技術を利用して、収益増加につながる判断を下すことが必要であるからだ。

 ROIが期待できる第4の分野は、コンプライアンス(法令遵守)に関する分野である。この分野はリーボー氏も挙げているが、「実際のROIを算出するのは、(不可能ではないにせよ)非常に困難である」と両氏は口をそろえる。しかし多くの企業にとって、コンプライアンスは極めて重要な問題であり、この問題に対処するためだけにSOAを導入する企業もあるくらいだ。

 シュメルツァー氏によると、問題は、企業がHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)やサーベンス・オクスリー法(SOX法)といった政府の法規制に準拠するには、記録保持規則を遵守するとともに、財務・会計情報を適正に開示することが要求されるという点にあるという。HIPAAは医療記録の扱い方を定めた法律。HIPAAとSOX法では、違反者に対して罰金刑が科せられるため、この分野でのROIのメリットはリスクの低減にあると言える。収益の拡大や収益の持続といったメリットが得られるわけではないが、罰金を科せられるリスクが大幅に減少するのである。さらに重要なメリットだと言えるのは、企業のイメージダウンを防ぐことができるということだ。企業イメージの悪化は、その会社の収支にも大きく響く恐れがある。

 PART2では、こういったことを念頭に置いた上で、どのようなROIを実現できるのかを予測する方法、そしてプロジェクト完了後に実際のROIを算定する方法について説明する。

本稿筆者のプリストン・グラーラ氏はWebサービスの専門家で、「How the Internet Works」(邦題:イラストで読むインターネット入門/インプレス)など20冊余りの著作がある。

(この記事は2005年4月12日に掲載されたものを翻訳しました。)

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