マイクロソフトのストレージ戦略に迫る!【第1回】
マイクロソフトの「本気」がユーザビリティを左右する
「Windows Storage Server」のメジャーアップグレードに向けた準備が進む中、マイクロソフトは本気でストレージ分野のメジャープレイヤーを目指し始めた。そこで、マイクロソフトの今後のストレージ戦略を日米で追求する。第1回~3回は米国よりのレポートである。
機能分野からマイクロソフトの戦略を把握する
マイクロソフトがストレージ分野でビッグプレイヤーになりたいと願うのは、もちろん驚くことではない。しかし、マイクロソフトがEMC、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、ネットワークアプライアンス、シマンテックといった企業に対抗できるのだろうか。マイクロソフトがほかのIT市場で覇権を確立したことを考えれば、同社のストレージロードマップを詳細に検討したうえで、同社のストレージ戦略が最終的にどのようなものになるのか、そしてその中で同社がどのような技術やパートナーシップを利用するのかを判断する必要がありそうだ。マイクロソフトの成功は決して保証されているわけではないが、もし同社がその支配力をストレージ分野にまで拡大することができれば、その影響がエンドユーザーにも及ぶのは間違いないだろう。
機能分野からマイクロソフトの戦略を把握する
マイクロソフトがストレージ分野でビッグプレイヤーになりたいと願うのは、もちろん驚くことではない。しかし、マイクロソフトがEMC、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、ネットワークアプライアンス、シマンテックといった企業に対抗できるのだろうか。マイクロソフトがほかのIT市場で覇権を確立したことを考えれば、同社のストレージロードマップを詳細に検討したうえで、同社のストレージ戦略が最終的にどのようなものになるのか、そしてその中で同社がどのような技術やパートナーシップを利用するのかを判断する必要がありそうだ。マイクロソフトの成功は決して保証されているわけではないが、もし同社がその支配力をストレージ分野にまで拡大することができれば、その影響がエンドユーザーにも及ぶのは間違いないだろう。
マイクロソフトのストレージ技術は全般的に改善されつつあるが、その成熟度にはばらつきがある。派手な宣伝文句に惑わされることなく現実を見れば、マイクロソフトがストレージ業界に長期的な影響を及ぼすと予想される主要分野は4つある。
(1)ファイルサービングとNAS(Network Attached Storage)
(2)データ保護
(3)リモートオフィスのサポート
(4)SAN(Storage Area Network)とストレージ管理
ストレージのエキスパートは、同社がプラットフォームと共に発表する数々の個別コンポーネント技術を理解しようとするよりも、上記の機能分野に沿って同社の技術的進歩を把握すべきである。これら4つの分野におけるマイクロソフトの戦略を把握すれば、自社のストレージ環境において、いつ、どのような分野でマイクロソフトの製品を検討すべきかを適切に判断することができるだろう。
ファイルサービングとNAS
マイクロソフトのストレージ戦略の中核となってきたのは、Windows Serverによるファイルサービングである。同サーバは、「Windows Storage Server(WSS) 2003」の登場で、成熟したNAS製品に進化した。マイクロソフトでは、その次期版「Windows Storage Server 2003 R2」を4月に出荷する予定だ(執筆時点は未発売)。認定OEM(現在その数は50社を超える)を通じてのみ提供されているWSSは、エンタープライズファイルサービング用のローエンドのNASプラットフォームとして急速に人気を獲得した。マイクロソフトでは、製品出荷総数に基づき、NAS市場で54%のシェアを確保したとしている。ただし、マイクロソフトの技術をベースとするNAS製品は、主としてNAS市場のローエンドで普及していることに注意する必要がある。WSSは購入/配備のコストが低く、信頼性に対するユーザーの評価も一貫して高く、使いやすい管理ツールを備えている。WSSは、マイクロソフトが「ストレージをやれる」ことを実証したのである。
しかし、2003年にWSSが登場して以来、企業のストレージ担当者は、このプラットフォームに、何本の「ヘビーデューティー型」ストレージアプリケーションを安全に移行できるのかという問題と格闘してきた。WSSの欠点を挙げれば、NFS(Network File System)のパフォーマンスが非常に低い、UNIXクライアントが対等に扱われていない、クォータ管理機能が組み込まれていないなど、枚挙にいとまがない。WSSは中堅・中小企業や部門規模の環境では優れた実績を挙げているが、エンタープライズクラスのNAS製品としての機能の多くは未検証である。HPなどの大手OEMは、WSSプラットフォームで成功しているものの、5万ドル以下の価格帯のカテゴリーにとどまっている。しかし次期R2リリースでの改良は、WSSの魅力を高めることになりそうだ。
R2ではWSSプラットフォームが高速になる。マイクロソフトは特に宣伝していないが、OEM各社がWSSのレジストリ設定をNASワークロード用に最適化することを許可している。その結果、ワークロードによっても異なるが、標準のWindows Serverプラットフォームと比べ、ファイルサービングパフォーマンスが10~25%改善される見込みだ。
NFSのパフォーマンスも大幅に改善される予定である。マイクロソフトでは、2006年にはNFS上で最大8ノードのリニアなスケーラビリティを実現するマルチノードクラスタリングもサポートする予定だとしている。このレベルのNFSパフォーマンスであれば、ミッドレンジのエンタープライズの異種混在するNAS環境の要求にも対応できるだろう。
WSS R2でのそのほかの改善点としては、ファイルレベルでのシングルインスタンス・ストレージや、データストアに対するフルコンテンツ型インデックス検索機能などがある。ファイルサーバ管理の分野では、ユーザーの間で要望が高かったファイルレベルでのクォータ管理、グループ単位でのキャパシティリポート、ファイルスクリーニング、複製コントロールといった機能が「File Server Resource Manager」(FSRM)によって提供される。このようにR2のFSRMは豊富な機能を提供するが、アコピアネットワークス、ネオパスネットワークス、ニュービューなどのベンダーが提供する競合製品が備える高度なポリシー自動化機能はサポートしていない。しかしサーバプラットフォームの機能として見れば、非常に充実しているといえる。
R2リリースでは上記のような改良が施されるものの、マイクロソフトのNASがネットワークアプライアンスやEMCの製品に対抗できるかどうかはまだ分からない。問題はパフォーマンスとスループットである。マイクロソフトはR2で、NAS分野の既存ベンダーに初めて勝負を挑むことになる。同社の作戦は、Windows Server 2003 R2をポリサーブのクラスタファイルシステム(CFS)「Matrix Server」と組み合わせるというものだ。この連携ソリューションは、マイクロソフトのプラットフォームだけをベースとする対称型でスケーラブルなCFSベースのNASクラスタを初めて実現し、価格対性能比でハイエンドのNAS製品にも十分に対抗できる可能性がある。
こういった進展を見れば、2006年はファイルサービング/NAS市場においてマイクロソフトにとってよい年になりそうだ。ストレージのエキスパートは、要求が厳しいデータセンターのタスクにもマイクロソフトベースのシステムを検討すべきである。R2リリースは、エンタープライズNAS分野におけるマイクロソフトの攻勢の先駆けとみることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
5
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
6
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
7
公式ストアの“防波堤”が消える「スマホ法」の衝撃 今必要な対策とは
-
8
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
9
高信頼セキュアネットワーク、アラクサラ統合で広がるフォーティネットの選択肢
-
10
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー