クラスタリングは大規模なシステム構成時に威力を発揮すると見られているが、それだけではない。その柔軟性と信頼性は中規模ユーザーにとっても魅力的だ。
米カリフォルニア州サンバーナーディノ郡がプロコムテクノロジーのNASボックスを使い始めて4年が経過したとき、同郡はディスクトラブルのせいで16Gバイト分の重要な市政プランデータを失った。これをきっかけに、部門別情報システムマネジャー、パトリック・ホニー氏はより信頼性の高いストレージを探し始めた。
ホニー氏によれば、同氏が最初にアイシロンについて知ったのは昨年のことだという。「当時は、アイシロンの製品が最も成熟しているように見えた」とホニー氏。
「アイシロンにとって、われわれは新しいタイプの顧客だったはずだ。われわれはスループットのアグリゲートよりも、ストレージのクラスタ化によるフェールオーバーのメリットの方に関心があった。導入から1年が経つが、これは今だに新しいコンセプトだ」(ホニー氏)
アナリストのグレッグ・シュルツ氏は次のように語っている。「クラスタリングは常に規模の拡大を意味するわけではない。確かに、あまりに小さな環境には適さないが、クラスタリングが提供する柔軟性と信頼性の魅力は大規模な環境だけに限定されるものではない」
米カリフォルニア州サンバーナーディノ郡の部門別情報システムマネジャー、パトリック・ホニー氏によれば、同郡では、古いNASシステムに置かれていた重要データの消失を受けて、より信頼性の高いストレージを探し始めた。その当時、アイシロンシステムズのマーケティングデータさえもが、クラスタNASは同郡にとって型破りな選択肢であることを示していたという。
「アイシロンの顧客名簿には、われわれのような規模の企業は含まれていなかった。われわれと同じ垂直市場の組織も含まれていなかった」と同氏。
サンバーナーディノ郡がプロコムテクノロジー(現在はサンマイクロシステムズの傘下)のNASボックスを使い始めて4年が経過したとき、同郡はディスクトラブルのせいで16Gバイト分の重要な市政プランデータを失った。データは主に資産報告に関するものだったが、その後、プロコムのNASハードウェアが修理され、それらのデータは復旧された。
「2週間、約1000時間の延べ労働時間を費やして、さらに数Tバイト分のデータを復旧させた。データの復旧には非常に苦労した」とホニー氏。
ホニー氏によれば、同氏が最初にアイシロンについて知ったのは昨年、Storage誌をパラパラと眺めていたときだという(Storage誌はTechTargetの傘下)。
「当時は、アイシロンの製品が最も成熟しているように見えた」とホニー氏。同氏は本格的な調査を開始し、2005年初頭に「Isilon IQ 3000」のテストを開始した。
「アイシロンにとって、われわれは新しいタイプの顧客だったはずだ。われわれはスループットのアグリゲートよりも、ストレージのクラスタ化によるフェールオーバーのメリットの方に関心があった。導入から1年が経つが、これは今だに新しいコンセプトだ」とホニー氏。
では、ホニー氏を決断させたきっかけは何だったのだろう?
「われわれは慎重なアプローチを取った。非常に小さな規模で実装し、できる限り厳しいテストにかけた。無作為にノードのプラグを抜いて、フェールオーバー機能をテストした。最悪のシナリオを何度も繰り返してみた」と同氏。
ホニー氏によれば、同氏はアイシロンのスティーブ・ゴールドマン社長と電話でも話をして、同社の製品ロードマップやベンチャーキャピタル資金の詳細についてまで情報を入手した。
その年の間に、同郡の30Tバイトの基幹業務ファイルデータのうち15Tバイト分(同郡が承認した出生/死亡/婚姻届の画像や資産報告など、1980年以降の各種の証書)がアイシロンのクラスタに移された。ホニー氏によれば、データの残り半分はまだ同郡のプロコムシステムに置かれており、向こう6カ月以内に移される予定という。
ここまでの道のりは平坦ではなかった。アイシロンは最初、各ノードにEthernetポート2基を備えたシステムを提供したが、Ethernetポートは一度に1基しか動作させることができなかった。現在では2つのポートが作動しているが、ホニー氏によれば、サンバーナーディノ郡は現在、本部から15マイル離れた第2データセンターにWAN経由でファイルへの変更点のみを送信する方法をアイシロンに開発してもらっているところという。同氏によれば、アイシロンは今のところ、RSyncと呼ばれるサードパーティのオープンソース複製ユーティリティを使っている。
「今はアイシロンはファイル全体を大きなバッチで有線ネットワークで送信している。それでスループットを若干抑えることはできる。だが、何かトラフィックコントロール機能も構築してもらいたいと思っている」とホニー氏。
アイシロンのほか、競合のアイブリックス、ポリサーブ、パナサス、そして最近ではクロスウォークなど、最近はクラスタストレージのベンダー各社が成長している。これは一部には、大手NASベンダーであるネットワークアプライアンスによるクラスタストレージシステム「OnTap GX」のリリースが遅れているおかげだ。だがアナリストによれば、クラスタNASへの注目の高まりも大きく影響しているという。
ストレージIOグループの創設者でアナリストのグレッグ・シュルツ氏は次のように語っている。「クラスタリングは常に規模の拡大を意味するわけではない。確かに、あまりに小さな環境には適さないが、クラスタリングが提供する柔軟性と信頼性の魅力は大規模な環境だけに限定されるものではない」
シュルツ氏によれば、クラスタストレージシステムは中規模ユーザーにも魅力的だ。なぜなら、大きなボックスよりも漸進的に拡張できるからだ。例えば、アイシロンの最小のクラスタ構成は6Tバイトで提供され、最小ノードは3Tバイトだ。またユーザーは、IQアクセラレータノードにより、容量とは別に性能を強化できる。
タネジャグループのシニアアナリスト、ブラッド・オニール氏は次のように指摘している。「データが増え続けるにつれて、クラスタストレージの魅力は増す。より高い容量とスループットをサポートでき、フェールオーバー機能も提供されるからだ。私は、エンタープライズNASユーザーの多くが向こう3〜5年間に新たに導入するのはクラスタシステムだろうと考えている」
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