【IT戦略・トップインタビュー】ジム・メリット氏(デル・ジャパン代表取締役社長)
IT投資を最適化する「スケーラブル・エンタープライズ」とは
エンタープライズ市場において、市場の伸びを上回る成長率を達成しているデル・ジャパン。その成長の背景には、デルが提唱するスケールアウト型システム構築手法「スケーラブル・エンタープライズ」に対する、多くの企業からの支持がある。現在、市場では企業の規模や戦略ステージ、環境などによって柔軟に構成を変更できるITシステムが注目されているのだ。デルの成長戦略、および「スケーラブル・エンタープライズ」のコンセプトについて代表取締役社長ジム・メリット氏よりお話をうかがった。
ジム・メリット氏
市場の伸びを上回る成長率を達成
--サービス分野では前年比2倍増も
日本市場におけるデルの躍進ぶりは、過去5年間の国内出荷台数シェアの推移を見ても分かる。例えば、2000年には5%を切っていた国内PCシェアは、2005年には12.3%にまで拡大。2000年の7位から3位にまで順位を上げた。
この状況は、エンタープライズ分野のサーバにおいても同様で、2006年第1四半期における1ソケット/タワー型の市場では、26.3%のシェアを獲得して第1位、同ラック型でも24.9%のシェアを獲得して第2位。サーバ市場全体でも、首位に王手をかけられる位置にまで事業を拡大してきた。
もちろん、それは業績にも反映されており、2006年第1四半期(1~3月)の実績では、デルは市場の伸びの5倍となる前年同期比24%増の成長率を達成した。
なかでも、DPS(デル・プロフェッショナル・サービス)を中心としたサービス分野は、前年同期比2倍という高い伸びを記録しており、近年、デルが注力しているソリューション・ビジネスが着実に評価されているといえる。
信頼される製品・サービスの投入
--成長戦略をさらに推進させていく
今年4月、デル株式会社の代表取締役社長に就任したジム・メリットは、こうした成長基盤をベースとして、新たな成長戦略を描こうとしている。メリットは、「デルが現在、日本市場におけるシェアやポジション、そして、業界全体に比べて高い伸びを維持していることは、デルの製品、サービスが日本のユーザーに受け入れられていると理解しています」と前置きしながら、「引き続き、日本のお客様に信頼されるソリューション・プロバイダとなるべく、お客様のビジネスをサポートする製品、サービスを提供していきます」とし、これまでの成長戦略をさらに推進させていく姿勢を見せる。
その成長戦略において、メリットは下図のような「3つのフォーカスエリア」を掲げた。「(1)お客様の満足経験の向上」では、体制強化のための継続的な投資がポイントになるとメリットは話す。具体的には、2007年度末までに、400人強の営業・サポート要員を新たに採用し、これにともなって、2005年11月に稼働した宮崎カスタマーセンターの陣容を、現在の300人体制から年内には500人体制へと拡充。特に、宮崎カスタマーセンターは、顧客対応を重視するデルの戦略的拠点の1つだ。
中小企業、SOHOを対象にした電話によるインバウンドセールスチームと、企業向けPCのテクニカルサポート部門で構成する同センターは、まさに営業、サポートの両輪を担う拠点である。宮崎カスタマーセンターの開設以降、独自の顧客満足度調査では満足度を大幅に向上させているとの結果が出ており、営業、サポートの両面から、デルの成長戦略を下支えしていることは間違いない。
スケールアウトのシステム構築を
--第9世代PowerEdgeでより現実的に
「(2)エンタープライズ/サービス事業の拡大」では、2006年6月20日に発表したデルとしては第9世代にあたるPowerEdgeサーバの新ラインアップと共に、DPSのサービス・メニューの拡充および営業体制の強化などがポイントだとメリットは話す。
デルは現在、「スケーラブル・エンタープライズ」という考え方を提唱している。これは、ユーザーのビジネス規模に適したシステムを標準化された複数台のサーバやストレージで構成し、ビジネスの拡大にあわせて機器を追加していく「スケールアウト」型のシステム構築手法だ。より利用効率の高いシステム構築、統一された管理ツールのもとで、効率的な運用マネジメント環境の実現および最大限の投資効果の実現を目指す。
デルは、新たに投入した第9世代PowerEdgeサーバを、この「スケーラブル・エンタープライズ」をより現実的に実現する製品と位置づける。それは、第9世代PowerEdgeサーバでは、最新の標準技術を搭載することによって、処理能力および可用性向上に加え、用途にあわせて柔軟な構成ができる点を強化しているからだ。
ハイエンド・コンシューマ分野で
--新たな顧客と市場の獲得を図る
さらなる成長に向けたデルの取り組みの最後が、「(3)ハイエンド・コンシューマ市場の開拓」である。ここでは、個人向けPCのプレミアムブランド「XPS」シリーズの本格展開が鍵を握る。このXPSシリーズは、すでに米国市場などで高い実績を誇っており、オンラインゲーム・ユーザーなどから、その性能やデザインなどに評価が集まっている。
これまで日本では、デスクトップ1機種だけの展開であったが、2006年5月8日にXPSシリーズとしては国内初となるノートブック型「XPS M1710」を発表したのを皮切りに、同年5月22日にはモバイルノートの「M1210」を、さらに、5月31日にはハイエンド・エンターテインメント・ノートPC「XPS M2010」およびデスクトップ型「XPS 700」を発表し、一気にラインアップを拡充した。「高級感、高品質、卓越した製品性能を実現するXPSシリーズの投入で、新たな市場を開拓していき、デルを代表するブランドのひとつとして国内市場への定着を図ります」とメリットは述べる。
社員への投資を強化することで、お客様との信頼関係もより強固に
こうした戦略的な課題に取り組む一方、メリットは「社員へのフォーカス」をもう1つの重要な取り組みに掲げる。「企業が成功するには、人が大切です。社員にとって働きやすい、安定して働ける職場環境を構築することで、高い目標に対して挑戦していく風土を実現することが、お客様に対する満足度の高い企業の実現につながると考えています」
これはメリット自身のこだわりであると共に、デルが全世界で掲げるテーマでもある。
「わたしはこれまで、お客様との接点で仕事をする機会が多く、また、それを大切にしてきました。お客様とのリレーションシップを強固なものにするには、やはり信頼関係が大切です。プロフェッショナル意識を持ったデルの社員が、お客様と信頼関係を築くことで、日本においても、『デルが最も信頼される企業である』と言われることを目指していきます」デルは、顧客フォーカスの戦略をますます進化させることで、単に製品を提供するだけでなく、顧客の立場で提案できるパートナーでありたいと考えている。
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