ITILの導入は簡単とは言えない。ほかの有意義な取り組みと同様、忍耐と努力が要求される。だがITIL導入プロセスに携わった筆者の経験から言えば、その成果には苦労するだけの価値がある。
あなたがネットワーク管理者であれば、経営トップからITIL(Information Technology Infrastructure Library)の導入に関心があるという話を聞かされたことがあるかもしれない。だが決して恐れることはない。
ITILは業界のベストプラクティスをまとめたITサービス管理のフレームワークであり、現在はバージョン3となっている。1980年代末に英国政府が業界の専門家と共同で策定したITILは現在、ITのベストプラクティスの業界標準とされている。
最初のバージョンは非常に技術寄りな内容で、ケーブリングインフラに関する戦略、コンピュータの導入/受け入れ、ネットワークサービスの管理といったテーマが中心となっている。2番目のバージョンは、より高い視点に立ち、個別技術要素をサービス管理フレームワークと連携する方法などを取り上げている。このフレームワークはサービスデリバリーやサービスサポートなどのコンポーネントを備える。先ごろリリースされた3番目のバージョンはさらに高いレベルの視点から、ITとビジネスプロセスを中核的コンポーネント(これらについては本稿で説明する)に連携する方法をまとめている。
ITILはフレームワークを中心にベストプラクティスをまとめたものだ。個々の企業にはそれぞれの強み、能力、社風があるという認識に基づき、非常に柔軟性の高い内容になっている。IT部門はITILを以下のような目的に役立てることができる。
ITILの現行バージョンは、サービスライフサイクルというアプローチを採用している。これは、アプリケーションおよびインフラを担当するスタッフがビジネス部門と共同で、ビジネスプロセスの改善に向けてITサービスを計画・構築・運用し、サービスが価値を提供しなくなった時点でそのサービスを廃止することを意味する。ネットワーク管理者は、ITサービス導入の必要性やサービス実現に必要な作業を事前に把握できるため、設計段階で重要な役割を果たす。
例えば、ビジネス部門がLANに対応したアプリケーションを購入し、6カ国にある24の支社に導入する提案を行う会議に、あなた(ネットワーク管理者)が出席する場合を考えてみよう。そこであなたは、アプリケーションを購入するに先立って技術的な問題を提起する立場にある。あなたの問題提起により、ビジネス部門の担当者はネットワーク遅延の影響を理解し、ほかの手段を検討するかもしれない。そうならなかったとしても、少なくともあなたはサービスレベルを適切に設定することや、技術的制約の影響を緩和するのに必要な技術を購入するための予算を確保することができる。
ITILを社内に導入したら、以下に示すITILの中核コンポーネントの趣旨に沿ってネットワーク管理者の役割を厳密に定義する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?
ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。
業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。
世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。
Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。