大切なのはツールではない
BPM営業担当者いじめは楽しい
IT部門に所属している楽しみの1つは、ベンダーいじめができることだ。わたしの最近のお気に入りはBPMベンダーに意地悪な質問をすること。おかげでうさ晴らしができ、イライラも解消される。
IT部門に勤務していていいことの1つは、ベンダーがわれわれと取引したがることだ。わたしにとって大きなメリットは、自分に電話してくるベンダーいじめができて、ベンダーもそれを受け入れざるを得ないことだ。ベンダーでうさ晴らしできるおかげで、運転中のイライラも解消されるし、スーパーのレジで自分の前に並んだ客がもたもたしていても文句を言わずにいられる。誤解しないでほしい。わたしはパートナーと見なすベンダーとは信頼関係を保っているし、だからこそイライラを取っておいて特定のベンダーにぶつけることができるのだ。
ここ数年は、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)ソフトウェアの営業担当者いじめが気に入っている。彼らによると、BPMはわれわれのプロセス問題がすべてソフトウェアで解決できることを裏付ける製品であり、会社が業績を劇的に好転させるための特効薬であるらしい。わたしに言わせればまゆつばものだ。
BPMがどのようにプロセスエクセレンスに取って代わろうとするものか、一例を示そう。わたしは最近、ソフトウェアとプロジェクト管理の優れた思想的指導者であるアリステア・コックバーン氏と昼食を共にした。同氏の考え方の基本は、成功するITプロジェクトには共通の特性があるということだ。大成功を収めるプロジェクトに共通する7つの特性は以下の通り。
- 頻繁なデリバリー
- 反省的向上
- 密接で浸透的なコミュニケーション
- 個人の安全
- フォーカス
- 専門ユーザーへの接触しやすさ
- テストと設定管理が自動化され、頻繁な移行がある技術環境
コックバーン氏はこの7つを「実践」ではなく「特性」と呼んでいる。この特性を達成する方法はたくさんあるからだ。これが原則なのは、フォーカスや専門ユーザーへの接触しやすさを達成するために使う手段が会社、プロジェクト、社風によって異なるからだ。
コックバーン氏から7つの特性について教わってから間もなく、あるBPMベンダーと会う機会があった。営業担当者はわたしに、エンタープライズリソースプランニング(ERP)、カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)、セールスフォースオートメーション(SFA)の上を行く次のステップとしてBPMがいかにふさわしいかを説明した。
適切なBPMツールを使えば、ビジネスユーザーはIT部門を巻き込むことなく作業プロセスを修正できると相手は言う。その一例として、この複雑なソフトウェアを導入すればいかにIT管理が簡素化されるかを説き、ITプロジェクト管理はBPMフレームワークに組み込むべきプロセスだと語った。
このベンダーのBPM製品を使えば、プロジェクトとポートフォリオ管理プロセスをいかにビジネスニーズの変化に適応させられるかという営業担当者の話を聞きながら、わたしはこの営業トークをコックバーン氏の7つの特性に当てはめようとしてみた。何か質問がありますかと聞かれ、わたしは「BPMツールはどのような形で浸透的コミュニケーションの達成を助けてくれるのか」と尋ねた。
「浸透、何ですか?」――営業担当者のあっけに取られた表情だけでも十分満足だった。
「浸透的コミュニケーションだよ」と答え、わたしは続けた。「BPMがどう個人の安全の助けになるのかと思ってね。御社のソフトは、安心して難しい質問を投げ掛け、不愉快なポイントを指摘できるようなプロジェクト環境の形成を支援してくれるのか。御社のツールはこの点で助けになるのか」
相手が答えるまでに1分かかった。「あの、わが社のソフトは実際のところそのような設計にはなっていません。ビジネスプロセスの向上と適応を支援する設計になっています」
そこでわたしはプロジェクト成功のための7つの特性を披露し、この点を改善すれば、プロジェクトの成功率が上がることは研究で示されていると話した。わたしの知る限り、BPMも特定のプロジェクト管理手法も7つの特性には含まれていない。その後、このBPM営業担当者とわたしはIT管理について実りある会話をした。営業担当者は製品を売ることはできなかったが、何にフォーカスすべきかをわたしに考えさせてくれた(答えはソフトウェアツールではなかった)。
IT部門を率いる立場に長年いるほど、企業価値向上への近道としてツール、特にソフトウェアツールに目を向けてもうまくいかないという確信は深まるばかりだ。BPMが理想的なソリューションになる場合もあるかもしれない。わたしにとってこれは、実現すべき真の変化について考える好機だ。例えば、もしプロジェクトデリバリーが反省的向上を通じて改善されるのなら、自分たちの失敗と成功から学ぶやり方を導入・向上させるために具体的にどのような行動を取ればいいのか。IT部門と専門ユーザーの間の障壁を取り除くにはどうすればいいのか。こうした課題を解決するまで、わたしのBPM探究は終わりそうにない。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略プランニング担当副社長。
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