SOX法が企業パフォーマンス管理推進の呼び水に――BPMフォーラム調査Column

SOX法で基本的に求められているのはパフォーマンス管理の改善だ。SOX法は企業の幹部がパフォーマンス管理に注意を向ける強い契機となり得ることが、BPMフォーラムの調査により明らかになった。

2005年12月06日 14時07分 公開
[TechTarget]

 BPMフォーラムが会員を対象に実施した調査によると、パフォーマンスに関する達成および説明責任を果たすための取り組みを促す要因として、コンプライアンスの位置付けは低いにもかかわらず、73%の回答者がSOX法と同法が求める会計責任の履行徹底の要請を受け、パフォーマンス管理のプロセス、ツール、方法論に注意を払っていることが明らかになった。

 企業パフォーマンス管理(BPM)の整備を促している要因は何か。コーポレートガバナンス(企業統治)は最大の要因ではなく、それどころか最下位に近い要因だ。にもかかわらず、大部分の経営幹部がサーベンス・オクスリー法(SOX法)と同法が求める会計責任の履行徹底の要請を受け、パフォーマンス管理に留意していることが最近の調査で明らかになった。

 Business Performance Management(BPM) Forumが230人の会員を対象に実施した調査では、68%の回答者が、パフォーマンスに関する達成および説明責任を果たすための取り組みを促す要因として、売上高の増大と利益の最適化を挙げており、61%が困難な市場環境を挙げている。コーポレートガバナンスを挙げた回答者は22%にとどまっている。この調査はすべての設問が複数回答だった。こうした取り組みを促す要因の中でコンプライアンスの位置付けは低いにもかかわらず、73%の回答者が、SOX法の施行を受け、パフォーマンス管理のプロセス、ツール、方法論に注意を払っていると答えている。

 「SOX法は主要な要因として挙げられてはいないが、呼び水となっているのは確かだ」とBPM Forumの諮問委員会のメンバーを務めるIBM幹部のジム・ブラマンテ氏は語る。「突っ込んで議論してみると、SOX法はBPMの本質的な部分にかかわっていることが分かる」

 この法律で基本的に求められているのは、パフォーマンスの改善だとブラマンテ氏は語る。パフォーマンス改善の側面の1つは、信頼できる確かな情報の整備だが、これはSOX法の要件でもある。同様に、可視性と透明性は経営幹部にとって重要だが、このことも同法でうたわれている。

 BPM Forumの調査は、BPMの必要性が深く認識されていることも示しており、95%の回答者が、よりよいBPMの必要性をある程度、あるいは大いに感じている。さらに、76%が社長、CEO、またはCFOがBPMを指揮していると答えている。これは当然の結果かもしれない。BPMへの理解促進に取り組む団体の会員が調査対象だからだ。だが、この結果は、IBMが以前に上級経営幹部を対象に行った調査と一致しているとブラマンテ氏は語る。

 「間違いなく、この傾向はビジネス界に広く当てはまる」とブラマンテ氏。「個々の企業では、BPMの概念全体の中で、うまくいっているのは一部の要素に限られるが、彼らはBPMの総合的なビジョンに基づいて、トータルに改善していこうとしている。トップ役員が推進役となっている企業の割合が高いのは、実に明るい材料だ」

 さらにブラマンテ氏は、IBMの調査では回答者の多くが、BPMで既に成果を挙げている大企業だったが、なお改善を目指すと回答していたと語る。

 BPM Forum調査のそのほかの興味深い結果としては、BPMによって促進できる重要な成果として、ビジネスプランニング(73%)や業務の可視性(69%)が挙げられていたほか、70%の回答者がSOX法対応の達成時期について、分からない、または早くても12カ月後と答えている。

 また、ブラマンテ氏は、技術がBPMを支える役割を担っていることも、調査から読み取れる重要なポイントだと語り、IBMの調査では、ERPシステムを十分に活用していると答えた回答者は19%にすぎなかったと指摘している。(この記事は2004年6月1日に掲載されたものを翻訳しました。)

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