使いにくいと不評だったビデオ会議システムは、真のROIを期待できる新世代のシステムに入れ替わりつつある。
ビデオ会議システムは、技術的に複雑でインタフェースが垢抜けないなど使いにくさで評判が悪い。米Forrester Research(以下、Forrester)によると、技術トラブルの解決に10〜15分以上かかる場合、社員は会議をやめてしまう。5年前に購入したシステムを使っていたある会社は、予定していたビデオ会議の10%以上が技術トラブルで中止になったという。
しかしForresterなどの調査会社によると、こうした使えないシステムは、実際に機能する新世代のビデオ会議システムに入れ替わりつつあるという。職場の分散化が進み、出張が環境に与える影響と経費が大きな問題になる中、新システムは価格の低下もあり、真のROI(投資利益率)を実現してくれるかもしれない。
いずれにしても、CIOは遠隔会議をうまくやる方法を見つけなければならない。
Forresterの報告書「ビデオ会議の復権」と、自社に適したシステムを選定・利用するためのヒントから、ビデオ会議をあらためて見直す理由を3つ挙げてみよう。この提言は、20の組織で職場のビデオ会議システム選定や運営にかかわっているIT/事業部門の従業員を対象にした面接調査に基づいている。
Forresterによると、在宅勤務者は現在、米国の就労者の20%を占めている。互いに離れた場所で働く従業員同士の連絡の行き違いがよくあるのも不思議ではない。従業員同士が顔を合わせる職場でのコミュニケーションであっても、少なくとも60%が口頭以外で行われているとの調査もある。ビデオ会議を使えば対面コミュニケーションが増え、行き違いも減り、チームとしての結束を強める手段にもなる。
ビデオ会議の金銭的メリットが存在しないかほとんど評価されなかった昔と違い、今では出張旅費の節約という明らかなROIが目に見えるようになっている。Forresterは、ビデオ会議の利用によって、会議の質を落とすことなく四半期ごとの部局会議の経費を3万5000ドルから1000ドルへと推定97%削減したある多国籍メーカーの例を挙げている。
HDディスプレイなどの技術向上と標準的なイーサネット/IPネットワークにより、ビデオ会議システムの質、信頼性、使い勝手は改善された。Forresterによると、ある多国籍製薬会社の場合、ビデオ会議装置に高精細ディスプレイ、コラボレーションツール、IP接続機能と直感的なユーザーインタフェースを導入したところ、ビデオ会議の利用が3倍に増えた。
ビデオ会議を使っている企業の聞き取り調査で、必要なビデオシステムの設定は会議の内容によって異なることも判明した。
1対1の作業では、PCのディスプレイが1台あり、アプリケーションと作業ツールを使いながら対面セッションができれば十分だ。
それぞれが離れた場所にいる複数人の会議の場合、会議室に設置したビデオシステムが最適だ。出席者はコラボレーション画面で資料の参照、編集、承認ができる。
高品質のオーディオを備えたホール用のビデオ会議システムは、企業の「一般教書演説」型会議にふさわしい。Webやオーディオカンファレンスのみで質問をさばくよりも、双方向ビデオを使って質疑応答を行えば、従業員が参加しやすくなり、経営陣への親近感も高まる。
テレプレゼンスルームは、微妙な言外のコミュニケーションが不可欠な場合、例えば離れた場所にいる担当者間の交渉、上層部の意思決定、人事に関する重大な話し合いといった局面で利用するといい。Forresterによれば、会議に集中する前の、自分が「高品質のアニメ動画」の中にいるという感覚は数分で克服できることも分かった。あるグループがForresterに語ったところでは、会議が終わって出席者が立ち上がり、思わず画面の中の相手に向かって名刺や握手の手を差し出したほどリアルだった。
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