アプリ導入前にエンドユーザーが理解すべきCRMの基礎CRM活用、成功の秘訣を探る【第4回】

CRMの目的は「顧客価値の最大化」にある。しかし、アプリケーションの導入だけではその目的は果たせない。売り手側はどう顧客との関係を築いていけばいいのか。

2008年10月27日 08時00分 公開
[赤穂 満,オープンストリーム]

CRMの目的は「顧客価値の最大化」

 CRM(顧客関係管理)の目的は「顧客価値の最大化」にある。ここでいう顧客価値とは、“顧客の生涯価値”を意味する。つまり、顧客にとって価値となるサービスを継続的に提供し続け、顧客と自社にとって最大のベネフィットを生み出すことが目的となる。

 しかし、CRMの実践を支援するアプリケーションは、あくまでも顧客管理、顧客との商談情報管理などに重点を置いたものであり、それだけでは顧客価値を最大化することはできない。売り手側が顧客価値を評価し、アプリケーションとの継続的連携を付加することによって、初めて顧客価値を最大化できるのである。まずは、単にアプリケーションを導入するだけでは企業の売り上げは伸びないことを十分に認識してほしい。

 本連載の第1回「CRM運用はマーケティング部門が先導しなければ成功しない」で庭山一郎氏も述べているが、アプリケーション運用の成功にはエンドユーザーの先導が非常に重要である。そこで本稿では、これからCRMの実践を支援する何らかのアプリケーションの導入を検討している企業のエンドユーザーが、事前に押さえておくべき「売り手と顧客の関係」を整理する。

売り手と顧客の意識ギャップ

 まず、通常の取引において、売り手と顧客との間ではどのような意識ギャップが発生しているのだろうか。

 顧客が購入するプロセスにおいて、実際に購買行動が発生するまでは、商品を提供する売り手も購入を検討している顧客も期待値や意識が共に上がっていき、購買時に共に最高に近くなる。その後、顧客は購入後の商品の使用を通じて商品への期待をさらに高めていくが、逆に売り手は別の顧客への販売を意識して既に販売した顧客への意識は薄まっていく。

 図1は、顧客が購入した時点で関心を新規の顧客に向けるという売り手の営業スタイルから、購入後の既存顧客に対しても関心を示していることを見せるスタイルに変更することで、本来顧客が持っている「関心を持ってもらいたい」という意識と売り手側の意識のギャップが小さくなるという考え方である。

画像 図1●売り手と顧客の意識ギャップ

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