実店舗にはコロナ禍前のにぎわいはもう戻らないのか?コロナ禍のホリデーショッピングを支えた技術【前編】

実店舗への人の流れは回復傾向にあるが、まだパンデミック前の水準には回復していない。今日のショッピングのトレンドには、さまざまな要因が絡む。

2022年04月12日 05時00分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

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 2021年には、ブラックフライデー(11月第4木曜日に当たる「感謝祭」翌日)に小売店舗が実施する大型セールに買い物客が戻った。人流計測を手掛けるSensormatic Solutionsが、全世界における400億回の店舗訪問を測定した結果によると、2021年のブラックフライデーの人流は2020年比で48%増加した。これは朗報だ。それでも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)前の2019年と比べれば、まだ28%も低い。

Eコマースは引き続き堅調も、実店舗は……

 ブラックフライデーでの人流の落ち込みは「想定外ではなかった」と、Sensormaticのグローバルリテールコンサルティング担当シニアディレクター、ブライアン・フィールド氏は強調する。「買い物客は、できれば人混みを避けたいと言っていたからだ」とフィールド氏は言う。

 Eコマース業者は、2020年に手にした大きな利益をしっかりつかんで離さなかった。Adobeが毎月公開しているデジタル経済指標「Adobe Digital Economy Index」によると、2021年のブラックフライデーにおけるWebでの売り上げは若干ダウンした(2020年の90億ドルに対して2021年は89億ドル)。ただし、それは消費者がブラックフライデーの買い物を早く開始し、さらに11月までの期間にわたって買い物の機会を満遍なく分散させたからだ。

 米国とカナダの消費者2000人を対象としたSensormaticの調査結果は、ホリデーショッピングを早くも9月に開始した人がいたことを示唆している。Adobeは、2021年のホリデーショッピングは全体として対前年比5〜15%増になると見ている。

成長要因のテクノロジー

 IDCのアナリストであるジョーダン・ジュエル氏は、現時点の店舗およびデジタルチャネルにおける売り上げには「多くの要因が影響している」と言う。帳簿上のプラスの側面としてはインフレの影響がある。消費者は2020年の間にオンライン注文の便利さに慣れて、これを好むようになっており、そのことも売り上げを引き続きけん引している。

 COVID-19の懸念により旅行を避けた分、消費者がより多くのお金を自由に使えるようになったこともある。購入障壁を減らすために、オンラインストアも実店舗も、Webショッピングや支払い技術など新しい技術に投資した点も見逃せない。

 サプライチェーンの諸問題もまた、ホリデーショッピングの在り方に影響を及ぼした。購入を決める前に、そもそも欲しいものが入手できるかどうかを確かめたい消費者がいる。彼らはオンラインとオフラインのどちらであれば在庫があるかを確認しようとする。

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