顧客の声(VoC)プログラムを軌道に乗せるため、どのような手順で進めればよいのか。前編に引き続き、7つのベストプラクティスのうち残り5つについて紹介する。
組織がカスタマーサービスやカスタマーエクスペリエンス(CX:顧客経験価値)、CRM(顧客関係管理)の領域で顧客の声(VoC)プログラムを軌道に乗せるには、どのような手順で進めればよいのか。前編「勝てる組織がやっている『顧客の声』(VoC)の活用法」は、実施すべき7つのベストプラクティスのうち「チャネルや方法論を限定しない」と「戦略的になる」について解説した。後編は残りの5つを取り上げる。
VoCプログラムにおいて問題となるのは結局、顧客が「自分の言うことをきちんと聞いてもらっている」と感じられるかどうかだけだ。製品に関する気まぐれな興味からヘルプデスクへ怒りのクレームに至るまで、想定される事態に対して迅速かつ有意義な答えを用意しなくてはならない。あらゆるシナリオに対処できるよう準備し、関係する全ての従業員に徹底させることが重要だ。
真のカスタマーサクセスをもたらすには、その役割を専任部署のみならず組織全体で担うべきだ。直接顧客と接点を持つことのない従業員もいるだろうが、そうした場合でも、ほとんどは何らかの形で、直接顧客に応対する者へのサポートやサービスを提供することになる。そこで重要なのは、VoCのフィードバックを組織内の全員がアクセスできる場所に置くことだ。カスタマーサクセス部が顧客属性や購入履歴などを含む綿密なプロファイルをまとめて全社に分かるように提示してもよい。これは組織全体で顧客のニーズや好みを把握するだけでなく、いざというときに顧客とどうやりとりするのが最適かといった認識を高めるのに役立つ。
顧客が期待するのは、パーソナライズされた配慮だ。組織のゴールが優良顧客との強力なコミュニケーションの育成であるなら、個々の顧客とのやりとりがパーソナライズされればされるほど、事はうまく運ぶ。どのような質問も、単なる買い手の一人が発するものとして捉えてはいけない。顧客を個人として重視しなければならない。
「顧客との関係を深める」と言いながら、実際にはただ商品の購入を促したり、Webサイトのクリック数を伸ばしたりすることしか考えていない施策があまりにも目立つ。しかしながらチャネルや方法論を限定しない「オムニチャネル」の環境においては、VoCを通じて時間をかけて顧客の習慣やルーチン、好みを聞き出すことができる。単に直接の購入ニーズではなく、顧客自身とそのライフスタイルについて会話を続けることにより、将来の契約形成に役立つ奥深く有益なデータが生まれる可能性がある。
既存顧客からのフィードバックを把握するためにVoCを備えておくことは、もちろん必要だ。ただし現在の顧客だけでなく見込み客の声を聞くことにも重要な意味がある。消費者の声に耳を傾けるとは、そういうことだ。特にソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などのオープンなコミュニケーション手段を通じて、既存顧客よりはるかに多くの消費者の声が企業に届いている。VoCプログラムをうまく運用することによって、既存顧客に配慮しながら新規顧客を生み出す効果的なマーケティングを実践することは大いに可能なのだ。
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