B2Bマーケティングで「パーソナライズ」がいまひとつ役に立っていない理由Forresterが予測する「これからのB2Bマーケティング」【前編】

Forrester Researchのアナリストによると、B2Bマーケティングではパーソナライゼーションへの投資が報われていない。その理由とは何なのか。

2022年04月11日 05時00分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

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 マーケティングのパーソナライズに対する投資のうち4分の3は、投資に対して期待されるリターンを生み出さない――。これは調査会社Forrester Researchのアナリスト、ロリー・ウィズド氏と、ウィズド氏の同僚15人が発信した、2022年におけるB2B(企業間取引)マーケティングの動向予測だ。以下のQ&AではB2Bマーケティングについて、さらに詳しく議論している。


なぜ「パーソナライズ」への投資が報われないのか

―― B2Bマーケティングのパーソナライズに対する投資は報われないのではないか、という議論があります。

ウィズド氏 全く報われないと言うつもりはない。有望性に見合った成果が上がっていないということだ。その理由として、今のところパーソナライズできているデータが、非常に基本的なデータであることが考えられる。われわれが主にパーソナライズしているのは、かなり容易にアクセスできるデータにとどまっている。

 マーケターが目指すのは、購入に至るまでのプロセスであるカスタマージャーニー全体を通して、見込み客に手を貸し続けることだ。これはエンゲージメント(顧客や見込み客とのつながり)戦略の設計そのものだと言える。

 エンゲージメントを強化するには、見込み客が実際にどのようなカスタマージャーニーの途上にあるのかに関して、もっと多くのことを理解する必要がある。例えば、ある見込み客がABC社に所属しているという事実そのものは、その人のカスタマージャーニーについて、それほど多くのことを伝えてはくれない。ある見込み客がXYZ製品に興味があるというだけでは、その人がカスタマージャーニーのどの段階にあるかは分からない。

 まずは見込み客が何を達成しようとしているのか、ニーズは何なのかについて、もっと多くのことを理解する必要がある。それらを理解したら、体験すべきコンテンツを用意する、さまざまな段階で抱く疑問に答えるなど、見込み客のニーズに対してやるべきことが分かってくる。

 カスタマージャーニーを視覚化したカスタマージャーニーマップの分析は、コンテンツやエンゲージメント戦略を提案するために使われる。ただしB2Bマーケターにはあまり広く採用されていない。

―― カスタマージャーニーマップは、B2C(企業・一般消費者間取引)ではそれほど複雑になりません。企業と顧客の関係が一対一だからです。B2Bでは、購買や販売に関わる人が複数いるので、カスタマージャーニーははるかに複雑になります。

ウィズド氏 2つの理由が問題を一層難しくしている。1つ目は購買シナリオの複雑さだ。一般的な消費財であれば、それを買う人が何を達成しようとしているのかが大体分かる。ソファを購入しようとしているなら、新居に家具を備えようとしていたり、究極の娯楽スペースを設計しようとしていたりする可能性がある。動機の違いはわずかでしかない。B2Bでは企業によって購買の動機が全く異なるので、それぞれのエンゲージメント向上のために個別のコミュニケーション設計が必要になる。

 2つ目は1つの企業内に、購買方針が異なる複数の購買チームがあることだ。非常に高度にパーソナライズしたエンゲージメントを求める購買チームもあれば、ただあつれきのない取引を求める購買チームもある。彼らの役割はさまざまだ。それら全てを個別に最適化しようとすれば、カスタマージャーニーははるかに複雑になるに決まっている。

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